※男主

目のやり場に困るというのはまさにこのことだ。とはいえ、視線を逸らすのも不自然すぎてどうすればいいのか分からないままなまえは目の前のモアを見つめる。その原因となっている当の本人はなまえの思いなど理解していないらしく、ただ満面の笑みを浮かべ随分と楽しそうにしていた。

「水着で写真、楽しかったぴゅるーっ!」
「あ、ああ……うん……そうだな、よく似合ってるし……」

今回は巷で人気急上昇中のバンド特集、という中々嬉しい写真営業でやって来ている。ただいつもと違うのは、プラズマジカ四人で、ではなくモアだけということ。そして、夏だからという安易な理由で普段の恰好ではなく水着姿ということだ。無論、撮影を終えたばかりのモアは水着姿でなまえの目の前にいる。モアの水着姿自体はよく似合っており、そういった点では全く問題はない。だが、モアは愛らしい少女なのだ。こんな少女の水着姿を目の前で見せられていくらマネージャーとはいえ年頃の男であるなまえもあまり平常心ではいられない。

(何よりもやっぱり、視線がどうしても……)

モアの問題の一点につい無意識に視線が向いてしまい、慌てて視線をそれとなくモアの顔へと移す。先程からどうも何度もそこへ視線がいってしまう。視線を向けないよう努力しても、やはり男は男。モアのその他の少女たちよりも発達した一点に欲望は逆らえないらしい。

「モア、またやりたいぴゅる!今度はプラズマジカのみんなとも!!」
「う、うん……仕事が貰えるよう、俺も頑張るよ……」

欲望に耐えようとするなまえに対し、モアはそう言って水着姿ではしゃいでいる。その姿が愛らしいと同時に心にずきりと突き刺さる。こんな子をなんて邪な目で見ているのだと良心が痛んで仕方がない。ほとほと自分に嫌気が差し、軽く溜息を吐くけば、何やらモアが先程とは様子が違っていることに気が付いた。あんなにも無邪気に笑っていたというのに、何故か今はどこか恥ずかしそうにもじもじとしている。

「モア?どうかしたのか?」
「……なまえくん、さっきから同じとこ見てるぴゅる」
「えっ?」

どうやらモアはなまえが何度もどこを見ているか気づいてしまったらしい。なんとか誤魔化さねばとモアをしっかりと見つめた瞬間、まず真っ先にまたあの一点に視線がいってしまい、思わず小さく呻く。誤魔化そうとしてこれでは意味がない。

「そんなとこばっかり見て……えっちぴゅる……」

モアはなまえから視線を逸らし、恥ずかしさからか頬を染め、相変わらず身体をもじもじとさせる。その姿になんとも言えない罪悪感と背徳感を抱きながら、慌てて謝罪の言葉を口にした後、また、なまえも慌ててモアから視線を逸らすのだった。

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