ほら、アイオーン、大丈夫だよ。そう言われたかと思えばぎゅっと手を握られる。驚いてシフレに視線を向ければ、彼女は少し困ったように笑った。

「ごめん、子供扱いみたいで嫌だったかな。でも辛そうだったし」

反論しようと口を開けば、すぐ隣を文化祭後の予定について話す学生たちが通り過ぎた。あそこに行こう。あれをしよう。これをしよう。そういった内容が嫌でも聞こえてきて、思わず身体を震わせる。彼らにとって楽しみでたまらない言葉もアイオーンからしてみれば呪いの言葉にしか聞こえない。

「か、かかかかかか神であるこの俺に、この程度のこと……ッ」
「じゃあ、やっぱり放そうか?」

アイオーンの手を握っていたなまえの手が緩められ、そのまま放れそうになる。それがとても心細く、慌てて今度はこちらから手を掴んだ。

「い、いや、そのままオレを闇に染まりし暗黒の道へと誘うがいい……ッ!」
「えーっと……とりあえず、暫く手をこのままでいいのかな?」

肯定の意を込め勢い良く首を縦に振れば、なら私なんかで悪いけど少しの間よろしくね、となまえはくすくすと笑った。それが繋がれた手と共に酷くアイオーンを安心させる。きっと少しすればこの状態を見たクロウが騒ぎ出すのだろうが、例えそうだとしてもなまえとこうしていることは幸福であるのに違いなかった。

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