何でこんなことに。正直そう思わずにいられない。私はソファに腰かけ、私の前ではクロウが「おー」とか「ふかふかしてんな」とか言いながら私の耳を先程から触っている。ただちょっと、クロウの耳を一度触ってみたいと言ってみたのがいけなかった。するとどうだろう、奴はならばその代わりに私の耳を触らせろと言い出した。というよりも、そう言って勝手に触り出した。一応抗議したものの止める様子は一向にない。おかげで私はこの行為に耐えなければならなくなった。改めてこうして触られるのが恥ずかしくてたまらないのは勿論のこと、実のところ触られるのが結構気持ちいい。恥ずかしさと快楽が同時にきて中々精神的につらい。ああ、早く終わらないだろうか。

「……って、ちょっと待った!」

ふとあることに気が付いてクロウの片手を掴み静止させる。片方は相変わらず耳に。もう片方はするすると下へと降りていき、尻尾に触れようとしていた。流石に尻尾は困る。断固拒否せねばならない。

「私、尻尾は触っていいなんて言ってない」
「別にいいだろ。ついでに触らせろ」
「だめ!耳はまだしも尻尾は……あっ!」

するりと私の手をすり抜けクロウは尻尾を触り始める。予期せぬ感覚に思わずぎゅっとクロウに抱き付けば、クロウが息をのんだのが分かった。耳は気持ちいい。そして、尻尾はそれ以上の快楽を与えてくる。だから嫌だったのに。
尻尾を付け根から上へとゆっくり撫でられる。クロウの手が上へといくにつれぞくぞくとしたものが身体中を支配し、それを押し殺そうとするが思っていたよりうまくいってくれない。

「や、やだっ……ひゃぁっ」

何とか止めさせようと試みるもののクロウは聞く耳を持たない挙句に、私の耳に歯を立ててきた。ほんの少し痛みが走ったがそれすらも気持ちいい。更に耳を触っていた筈の方の手が気が付けば私の太ももを愛撫していた。これは非常にまずい。このまま流されてはいけない。やはり止めなければ。でも身体はうまく言うことを聞かない。どうすればいいんだ。
とその時、電話が鳴った。それと同時にクロウの動きが止まる。きっと、電話をかけてきているのはロムさんだ。今日電話すると言っていた。勿論それをクロウも知っている。そして今出なければロムさんの拳が後々飛んでくることも分かっている。前も同じような状況でロムさんからの電話があった際に、クロウはそれを無視して事を進めた。結果、ロムさんに殴られるわ説教されるわできついお仕置きを受け、釘も刺された。次同じことをしたらこれ以上のきついお仕置きをするぞと。

「……あー、クソッ、イイところだったのにッ!」

若干苛立ちながらもクロウはそう言って名残惜しそうに私を解放した。…………助かった。ロムさんにはお礼を言うべきなのかもしれない。

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