みんなから、いつもしっかりしていて優秀でまさに召喚師の鑑だ、なんて言われて。なるほどみんなにはそう見えているのかと納得するとともに、私のこと解ってくれていないんだなあなんて勝手なことを思ってしまう。別にみんなにそう見られたいわけじゃない。でもその方が都合が良いから結局はみんなの思う通りに行動してしまっている気がする。

「貴様は何故そうも無理をしようとするのだ」
「別に無理してない」
「愚か者が。貴様のせいで任務に支障を来すと言っている」

ソウケンに睨み付けられ、誤魔化すようにアルカが淹れてくれたコーヒーを胃に流し込む。別にコーヒーが飲みたいなんてこれっぽっちも思わないけど誤魔化すにはちょうどいい動作になる。とはいえ相変わらずおいしい。流石はアルカだ。それにしても、任務の話があるというからアルカとその響友がお世話になっている大家さんのお店に呼び出されたと思ったら開口一番この説教である。アルカが心配そうな顔でこちらの様子をうかがっているじゃないか。後々めんどくさいのに。しかし、説教をするためにわざわざ呼び出すなんてソウケンも案外暇なのだろうか。

「皆が望む貴様を演じるのも良いが、少しぐらい己の身の心配ぐらいしたらどうだ」
「これが私だよ。何を言ってるか分からないなあ」
「私の前で演技をしたところで無意味だ。何故そうも己を追い込む」
「ソウケンこそ、私にこんな話をしたって無意味だよ」

ああ言えばこう言う。こう言えばああ言う。正に終着点のない会話である。お互い自分の主張を曲げないのだからこの話し合いに決着はつかない。

「なんていうか、二人って結構似てるよね」

ぼそりと呟いたアルカの声がこちらまで届く。本人としては響友にこっそりと話しかけたのだろうが、残念ながらと言うべきか私たちにまで聞こえてしまった。声がした方を向けば、アルカと目が合って慌てて彼女は顔を逸らした。まったく、ばればれだよ。溜息を吐いて視線を戻せばソウケンが随分と不機嫌そうな顔をしていた。貴様のような未熟者が私に似るなど目がおかしいのではないか心外だ、という言葉が口に出されないものの聞こえてくる気がする。実際そう思っているに違いない。私もそうだ。ああでもそうなると、確かにある意味で似ているのかもしれない。

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