「貴女はどうしたいんですか?」

私を見つめるヤードの目は随分と熱っぽい。もう何度この目を見続けてきただろうか。そして、何度知らぬふりをし続けてきただろうか。私は何もかも知っているのに。だって分かり切ったことなのだ。それは当たり前のことで、ヤードはその当たり前のことをしているだけ。おかしなのは私の方だ。逃げている私が。

「今を変えるのは私も怖いと思っています」
「じゃあ、何で」

自分でもなんて馬鹿なことを聞いているのだろうと思った。そしてヤードも同じことを思ったらしく、口元に笑みを浮かべた。

「貴女はどうしたいんですか?」

再度同じことを問いかけられる。私は黙ってヤードを見つめ返した。きっと私がヤードに向ける視線は彼と同じだ。本当は、答えなんて、ずっと前から決まっている。

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