李典に腕を掴まれたと思えば突然と口付けられ、思考が飛ぶ。しかしそれは一瞬のことで、すぐに我にかえり慌てて口付けている人物の身体を突き飛ばしてやった。

「何するんだ!」
「馬鹿!それはこっちの台詞よ!」

先程の感触を思い出して一人赤くなる。恥ずかしくてたまらない。

「お得意の勘でしても大丈夫だと思ったの? だとしたら外れたみたいね」

睨みつけながらそう言えば、李典は何かを呟いた。よく聞こえない。はっきり言ってくれないと。

「……分かってたんだよ、こうなることぐらい」
「はあ? だったら何でしたの」

こうなると分かっていて行動に移すとは馬鹿なのか。私だったら絶対にしない。すると李典は顔を真っ赤にしながら叫んできた。

「したかったからに決まってるだろ!」

こっちは焦らされてもう限界なんだから仕方ないだろ!、と返される。こいつはなんて恥ずかしい奴なんだ。やはり馬鹿じゃないのか。ぽかんとしていれば強い力で両肩を掴まれ、再度口付けられた。

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