「何故、目を逸らすのですか?」
「な、何故も何も、あのっ」
「顔が真っ赤でございますね」

ふふっ、とおかしそうに紫電様は笑う。私の頬に添えられた紫電様の手が、ゆっくりと愛おしそうに動く。一方で、私の身体は強張って動かない。だって、紫電様がこんなにも近くにいて、私の頬を、撫でている。動ける筈なんてない。

「なまえ」
「は、はい!?」
「私のことが、好きですか?」

予期せぬ問いに思わず息をのむ。逸らしていた目を、紫電様へと向ければぱちりと視線が噛み合った。美しく、吸い込まれそうな、そして闇を思い出させる紫の瞳が私を見つめてくる。ああ、なんてきれいな瞳だろうか。

「……す、好き、です」
「そうですか。ありがとうございます。……では、私とレイ。本当に好きなのは、一体どちらですか?」

そんなもの、紫電様に決まっている。そう言いたいのに何故か私は声を出せずにいた。そして、紫電様の瞳は、何もかもお見通しなのだと言っている気がしてならなかった。

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