「土門くんがね、アメリカに行っちゃった」
電話越しに聞こえてくるなまえちゃんの声はとても寂しそうだった。それもそうだろう。だってなまえちゃんは土門くんのことが大好きなのだから。
「そうなんだ。寂しくなるね」
ほんの少しだけ、僕は嘘を吐いた。同じ「友達」でも、なまえちゃんは土門くんのことばかり。もしかしたらなまえちゃんを一人占めできるかもしれない、なんてずるいことを考えてしまっている。そうして、僕のことを見るようになってくれればいいのに。友達じゃなくって、それ以上の感情で僕のことを好きになってくれればいいのに。