「随分と苛々してるね」

ほとんど独り言のようにみょうじは言う。視線はスノーボードをする円堂達で、こちらを見てはいない。

「何も言わねえのか」
「うん?」
「お前のことだから、吹雪の奴と仲良くしろとか言うのかと思ったんだが」

円堂達から視線を外し、今度はこちらを見つめる。そして、少し考え込みながら口を開いた。

「染岡くんなら心配いらないかなあと。大体、私が言ったところでじゃあそうしますって変わらないでしょ」

何だそれはと思ったが確かにみょうじに何か言われたところで何も変わりはしないだろう。それにしてもまさかこいつからこんな発言が飛び出るとは思わなくて、なんだかそれがおかしかった。

「まあ、そうだな。それに、お前こそ風丸との仲をいい加減にどうにかすべきだしな」
「ちょっとやめて言わないでよ。私だってどうにかしようと思ってるんだから」

ううっ、と唸ったかと思えば、染岡くんのばーか!、と言ってみょうじはちょうど滑り終わった吹雪の所へ駆け出す。馬鹿とはなんだ!と返したが気にもせずみょうじは吹雪の頭を撫でていた。男の頭なんか撫でて楽しいのか、あいつは。

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