あいつだってこっちに歩み寄ろうとしてくれているのは分かる。前みたいな関係に戻りたいと思ってくれている。それは俺も同じなのに。
「風丸、円堂が呼んでたよ」
なまえに風丸と呼ばれるたびに胸がざわつく。昔はそんな呼び方じゃなかっただろう、なあ。接し方だって違う。俺達は、もっと、もっと、
「ああ、分かった。ありがとう、みょうじ」
少しだけなまえが悲しそうな顔をした。また胸がざわつく。俺はお前のそんな顔が見たいわけじゃないんだ。なんでそんな顔をするんだ。そんな顔をしたいのは俺なのに。だってお前が昔とは違うから。ああ、でも、俺だって、それは同じじゃないか。