何かあればすぐになまえは鬼道を頼る。最近では不動のこともよく頼るようになってきている。今は敵チームになっている土門のことは何故そこまでと思うほどに懐いているし、吹雪にも同じように好意を示しイナズマジャパンの中では一番で親しいであろうほどの仲だ。他にも豪炎寺あたりと楽しそうに何やら喋っている姿も見かける。では、俺は、といえば大して何もない。古い付き合いなのだから古い付き合いならではの仲の良さがあるわけではない。円堂も同じかと思いきや、あいつはキャプテンという立場があるからか俺とは違うような気がする。キャプテンならではの会話をなまえと繰り広げるのだ。やはり俺には何もない。

「あっ、こら、嫌いなものを俺の皿の中に入れるな」
「バレたか」

ちろりと舌を出してなまえは「失敗した」とアピールして笑う。朝食から何をやっているんだこいつは。俺の気も知らないでこいつは本当にいつも楽しそうだ。よくよく考えたら、こうしてまた昔のように喋れるようになるまで、つまりエイリア学園のあの事件までそういえばこいつはこうだった。俺の気も知らないでなんとも楽しそうに笑う。俺はこうして複雑な思いを抱いているというのに、単純そうで羨ましい。だって、ようやく昔のような関係に戻れたというのに、これでは何も変わらないじゃないか。

「ごめんごめん。でもさ、こうして馬鹿みたいなことやれるの風丸だけしかいないんだよね。だから安心してやれるって言うか。うん、そう、風丸との間には安心感があるんだよね」

そう言ってなまえは俺の皿へと一旦移していた昔から嫌いなものを口の中へ放り込み、それへの嫌悪感からか顔をしかめた。俺はそんななまえを見て思わず口元に手をやった。駄目だ。たったこれだけのことでにやけている。どうやら思っていた以上に自分は単純らしい。

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