そよ風の如く


地球にあるマルチョ宅

HEXから属性エナジーを守る為ブローラーズは一時此処に滞在していた。
それは、ブローラーズの一員である風見駿も例外ではない。


「・・・静かだな」

そう呟きながら駿はマルチョ宅の庭を歩いていた。
イングラムを含め他の皆は家の中にいる為か、辺りからは風のそよぐ音ぐらいしか聞こえてこなかった。

(・・・この静寂がいつまで続くか・・)

そんなことを考えていた駿はふとある花が目に留まった。

それは紫色の薔薇だった。

駿はその花に近づき暫く眺めていると、一人の青年の顔が思い浮かんできた。

「・・・エース」

駿はエースを思い出しながら、そっとその薔薇に触れた。

「・・・っ」

不意に触った為か、薔薇の棘が少し指に触れた。
それでも駿は構わずにその薔薇に触った。
すると、薔薇の花びらが一枚ゆっくりと剥がれて地面に落ちていった。

(・・・・まるで・・エースみたいだ)

美しい容姿とは裏腹に棘の様にプライド高い性格。
それでも、花びらの様に剥がれてしまいそうな心の弱さ。

駿はそんなところがエースに似ていると思った。

(だからこそ・・・俺は・・・エースを・・・・)

ふと、駿の耳に誰かが自分を呼ぶ声がしてきた。

「お〜い!駿!」
「・・・エース」

視線を声の先に向けると、エースがこちらに向かってくるのが見えた。

「何か用か?」
「もうすぐ昼食だから早く来いってさ」
「そうか・・・呼びに来てくれたのか?」
「まあな・・・ま、ダンが早く食いたいって煩いからな」
「ありがとう・・・」
「別に・・・それより早く行こうぜ」
エースはそれだけ言うともと来た道の方へ歩きだした。

(・・・少し顔が赤かったが・・・気のせいか?)

そう思いながら駿が歩きだすと、風が自分の横を通り抜けていくのが感じられた。

駿は薔薇の方を向くと薔薇が風に揺れているのが見えた。

(・・・俺でも出来る・・よな・・・)

駿は軽く走り出すと、背後からエースを抱きしめた。

「!?しゅ、駿!」

「・・・エース・・・好きだ」

駿はありのままの気持ちをエースに伝えると、そのまま強く抱きしめた。
エースは黙ったまま何も言わない。
駿はずっと抱えていた気持ちを吐き出して、少し気分が軽くなった。
例え、断られたとしても・・・・。

「・・・駿・・・お前・・・遅いんだよ・・」
「・・・ん?」
「俺も・・・お前が・・・」




そよ風の如く

小さなそよ風でも薔薇を揺り動かすことは出来たようだ・・・・



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