「っは……?」
「すまん、抑えられそうもない」
短い謝罪の後、硬い床に擦れる背中と手首、それと、天井を背負ったシュンの構図に、エースの思考は一時停止していた。
「てっめ……!退けろ、手を離しやがれ」
次の瞬間からフル回転し始めた頭のおかげでエースは上に迫るシュンに言葉を放つ。
「エース、お前が悪い」
「はあ?知るかよ、早く、ど、け、ろ!」
自分を蹴り上げようとした足を上手く押さえたシュンはその間に入り込むとさらに距離を縮めた。
そのままエースの顎を掴みとって唇を合わせる。
じれったくなるほど啄ばむ小さなキスを繰り返し、誘導するかのように唇を舐めた。
「っふあ、い……っ、しゅ、て……!」
「どうした、もの欲しそうな顔をするな、いやらしい」
そして綺麗だ、と付け足してシュンは薄く笑う。
「……てめ、好き勝手、言いやがって……!ばっかやろ、あ、ひっ、ん……!」
罵声を吐こうとしたエースの足の付け根をなで、シュンは有無を言わせず再び顎を掴み取り重ねた。
今度は深いものから入り、奥に引いていく舌を引き出す。
シュンがわざと水音を鳴らして舐めれば、エースの腰がびくびくと波打って嫌だと身を捩った。
それでもシュンは口付けを止めず、片手で煽るように付け根を触る。
「ん、やめっ……あ、あ、いっ……く、そ……!」
いつまでたっても肝心の場所には触れてくれないのがもどかしいのか、エースはゆるりと腰を動かした。
それに自分で気づいて唇を噛み締めて羞恥に耐える。
「あいかわらずプライドが高いんじゃないか?」
「う、っせえ!あ、うあ、まっ……!しゅ、触ん、な……!」
シュンの手が離れて、反射的に身構えたエースはぎゅっと目を瞑り切なげに眉を寄せた。
「……っ?」
いつもなら訪れるはずの快感がないことに不審に思ってうっすらと目を開ける。
「期待したか?」
にやり、と目の前でおもしろそうに口角を上げたシュンの表情にエースの顔が朱に染まった。
「〜〜っ!」
「期待、しただろ?」
そっと耳元に言葉を吹きかけられて、エースはシュンの胸倉を掴む。
「……した。悪いかよ……!」
ぶっきらぼうに伝えられた言葉にシュンは再び口付けた。
「で、何で俺がいきなり襲われなきゃなんなかったんだ」
だるそうに布団に包まったエースがベッドサイドで満足げに腕を伸ばしているシュンに訊ねる。
それにシュンは優しくエースの頬をなでた。
「ああ、それは、エースの髪が濡れていて情事中みたいに色っぽかったからだな」
「死ね」
色情のいざない