ける


シュンに後ろから抱き締められながら、エースは自分を恥じていた。ついに抱かれてしまった。夢であればよかった。全て暴かれてしまったのだ。恥ずかしくて仕方が無い。何故許したのか分からなかった。焼きが回っていることはここ最近気づいていたが、まさかここまでだなんて。背中に感じる体温が、居心地が良くて心地悪い。
何だか急に心が痛くなった。誰かと関わって相手が幸せになったことがあっただろうか。自分は気持ちを言葉にするのは苦手で、いつも人を傷つけていたように思える。関われば喧嘩や言い争いは怒る。人間を嫌いにもなった。だから極力、人との接触を避けた。そのはずだったのだが。
(…こいつは何で、俺なんかを)
考えて、言葉にするのが嫌になった。怖かった。きっとこいつも考えて抱いた訳ではないはずだ。ただの性処理。妊娠する訳も無い男の身体だ。そう考えなければどうしたらいい?
「エース?」
強く抱き締められ、身体が強張った。
「震えてる。寒いか?」
「……」
身体の前に回された手を握る。ああ、こいつ馬鹿だ。何にも考えてないだけか。人の心配なんてするんだから。
「何でもねえっ」
イライラとして、ベッドから跳ね起きた。掛け布団なんてひったくってやる。起きて追いかけてこようとするシュンを蹴って倒し、自分の部屋に逃げ出した。
好きだなんで信じない!
(ただ怖いだけ)





2011/04/29

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