緑川




若い世代が集まるボーダーの中でも中学生というのは年齢が低い方だ。特に、A級クラスになると数は限られてくる。

「迅さん迅さん」
その未来ある精鋭は今日も絶好調のようだ。
大人びた若者が多いボーダーの中でまだまだ幼い部分がある緑川は癒やしである。
「あ、名前さんも〜」
迅にべったりとくっついたままの緑川がヘラリと笑う。
ああー今日もかわいい。
「名前ちゃん笑顔がこわいこわい」
ヘラリ、というよりニヤリと笑ってしまうのも仕方のないことだ。そう言う迅だってかわいい子猫や子どもを前にするとニヤついてしまうこともあるはずだ……たぶん。

「緑川くんおいで〜」

わーいと両腕を広げると、わーいと緑川が駆け寄ってくる。子犬か。

ぽすりと胸に収まった緑川の頭を抱え込みぎゅうと抱き締めると、横から迅の腕も伸びてくる。おいこら、ドサクサに紛れてハグしようとするな。

そんな迅のセクハラもチャラにできるほど甘えてくる緑川はかわいい。頭をぐりぐりと押しつけてくる仕草が子どものようで庇護欲が掻き立てられる。この小さな身体で闘っているのだと思うと胸が締め付けられる思いだ。

それにしても、こんなに甘えてくるのは珍しい気がする。

「緑川くん……?」
不思議に思い声をかけると、彼はピタリと動きを止め、スッと膝を曲げる。
緑川の両手が名前の腰を掴み、柔らかい弾力のあるお腹にちゅっとかわいらしい音を立てる。
「えへへ、」
「お、おおう……」
愛嬌満点の笑みで見上げてくる仕草が眩しすぎて立ちくらみが……。


この愛らしさ、もしかして確信犯か?



お腹 回帰





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