烏丸




「とりまるいえ〜い」
「いえ〜い」
腕と腕をぶつけ合い男子高校生のような挨拶を交わす。まあ彼はれっきとした男子高校生なのだけれど。

「とりまるってモテモテだけど実際女の子に興味ある? 私とりまるファンに殺されない?」
「まあ俺も一応男なんでそれなりに。名前さんにしか興味ないですけど」
「はうう……」
「他の奴は男も女も近づけさせないので安心してください」
「おおう……」

こやつわかっておる……。

「とりまるノリいいから好きだわ」
「それはありがとうございます」
淡白に返した烏丸はいつもの表情の読めない顔でそっと名前の右手首を取る。
名前の細い手首を持ち上げ、いつもと変わらずにこにこと笑う名前の顔を一瞥する。毒気を抜かれるとはこういうことなんだと思う。

持ち上げた右手首に触れるだけの軽いキスを落とす。

「きゃーイケメン! さすがとりまる!」
「はい」

烏丸は最後に薄く笑って、ゆっくりと名前の手を下ろす。


あなたの口から発せられる"好き"という言葉ほど残酷な言葉はありません。

仲の良い後輩だから、頼りになる仲間だからじゃなくて、一人の男として好きになってください。



手首 欲望






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