▼ 特別になりたい系男子


「…桜井、重い」

講師室で一人、テストの採点をしている私に寄り掛かる大きい影。その正体は氷室先生と大迫先生を悩ませているらしい桜井琥一だ。

何故か彼は私になついていて、一日に一回は社会科準備室に遊びに来ている。


「…あちぃ」

「なら離れなさいよ」

「嫌だ」

私は教師になってまだ2年。氷室先生に色々教えてもらっている最中だ。なかなか充実している日々を送っている。


「…琥一、どうせ懐くなら他の先生にすれば?」

「例えば」

「…氷室先生とか」

誰があんなアンドロイドに懐くかよ。とぶつぶつ言っている琥一を尻目に、私はサラサラとテストの丸つけをしていた。
私の担当は歴史で、得意な子とそうでない子の差があまりない。だから誰でも頑張ればできるのだ。

「…琥一、赤点」

「ああ、知ってる」

「補習、琥一だけだよ」

「それも知ってる」

溜息をつくと、琥一は悪いな、センセー。と本当は悪いと思っていないのまる分かりのセンセー呼びをして、私に呆れさせた。
氷室先生、私の補習手伝って下さるそうなんだよね。琥一大丈夫かな。

「…そんなに歴史嫌い?」

「…別に、んな事ねーよ」

それならいいんだけど。そう返すと、琥一は私にもっと体重をかけて寄り掛かってきた。重い、重いぞ青年。
寄り掛かるのをやめてと注意しようとすると、突然ドアをノックする音がして、直ぐにドアが開いた。

「あ、氷室先生。お疲れ様です」

「なまえ先生、いつも連絡感謝します」

「連絡って…おい、いつそんな…」

氷室先生がスマートフォンの、私からのメールを開いて琥一に見せた。メールしてんのかよと項垂れている琥一の肩をぽんと叩いて立たせて、授業頑張れと言って送り出す。氷室先生の満足そうな笑みに、ちょっと嬉しくなった。









(俺とはメールなんかしたことねーのに)


ボツ理由
琥一くんのキャラ崩壊
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