「ほらオルフ、飯だぞありつけ」

「ちょ…将軍、その猪どこから…っ」

「ああ、そこら辺歩いてたから狩ってきたんだ。そう易々と肉にありつけることなんてないんだからな、感謝して食え」

「………しっかり焼いてありますね」

「ああ、シリウスがな…」

「…へぇ……彼は今どこに?」

「猪臭いから水浴びしてくるって湖に行ったが」

「…猪臭いって…」

「動物は好きではないらしい。奴隷の時、家畜の世話やら死ぬほどやらされたせいで、嫌な思い出しか残ってないんだと」

(自分も犬のくせして…)

「なのに狼だなんだと呼ばれる俺にはしつこく付いてくる。おかしな奴だな、あいつは」

「犬は、3日飼ったら恩は忘れないって言いますから」

「はは、確かにな」

「知ってますか将軍。噂なんですが、王族が狩りのために飼うような犬は、その主の手ではないと餌を食べないらしいんですよ」

「…嘘だろ、所詮動物なんだから」

「さぁ、噂だから真実かは知りませんが。居たら見てみたいですねぇ、そんな忠犬」

「いつも自分の傍に付き従って…可愛いもんだろうな」

「………」

「…なんだその顔」

「……っいえ、将軍でも可愛いとか思うんだな…と思って」

「…っ悪いか…」

「そんなことはないですけど、ただ少し疑問に思っただけで………あ、おいしいですね、この猪」

「悪くないな」

「犬を飼ったら、将軍の手を煩わすことなく狩れそうですよ」

「…いや、犬ならもう飼ってる」

「…は?………ああ」

「…な?」

「………なんすか二人とも。俺の顔じっと見て」

「……犬ですね」

「犬だろ」

「…犬?…あ、それより待たせました大将。水浴び終わったんで」

「大丈夫だ。待ってない」

「先にいただいてます」

「…っちょ…二人とも食べるの早ぇ!美味いとこばっか食ってんじゃないですか!」

「当然ですね」

「…ひでぇ…」

「…まだこっちにあるぞ、シリウス。ほら」

「…あ、落ち………っお…と、」(ぱくり)

「………」

「………」

「………ん?」

「忠犬ですね…」

「忠犬だろ」

「え、…え?」

「将軍の手から物食べるとかどんだけはしたないんですか、シリウス?」

「…え…ごめ…っ」

「将軍ではなくて、主だろう。オルフ」

「あ、すみません間違えました」

「…な、に二人してそんなにやけてるんすか?さっきから意味が分かんないんですが」

「将軍はシリウスをとっても可愛いって思ってるって意味ですよ」

「…は?…え、光栄、です」

「狩りに出すか」

「普通の犬より役立ちますよ」

「………っだから二人とも何の話なんだってば!!」

―――
シリウス苛めになる不思議
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