(シリウス+オルフ)



「お前、何してるんだ?」

学校の帰りにふと立ち寄ったゲーセン。学校に近くあり、先生の目を逃れるように此処で遊んでいく生徒は少なくない。しかし珍しい背中を見て、俺は目を丸くした。細っこい体付きに金の短い髪。呼び掛けたのに振り向きもしないのはいつものことなのだが、いつもと違って返事は返ってくる。

「見たら分かりませんか」

「…いや、分かるけど。お前がそれやってるのがあまり想像できないというか…」

ひょいとオルフが集中しているものを覗き込めば、中身はUFOキャッチャー。しかも中にはどでかいぬいぐるみ一つ。

「…………取るの?」

「取るんです」

何でも無さそうにオルフは呟くと、すでにコインは入れてあるのかボタンを押し始めた。オルフがまさかゲーセンで遊んでいるなんて、大将が知ったら爆笑もんだなぁ…とその細い指を見ながら思う。そう考えていると、ふと指がボタンから離れた。あれ?と思って顔を上げると、あのどでかい人形の姿がない。と思ったら隣にいるオルフが屈み込み、それを取り出して抱えていた。ひょっこり顔を出したそれに空いた口がふさがらない。なんというか…早業にもほどがあるだろう。

「…お前、意外とこういうの得意なんだな」

「貴方より有能なだけです。…はい」

「…ん?」

どさっと腕に重みを感じ、下を見ればどでかいぬいぐるみの姿。

「オルフ!なんだこれ!!」

「私からの愛の籠もったプレゼントです。有り難く受け取りなさい」

「重っ!有り難くねぇ!これ抱えながら帰れというのか!」

「当たり前です」

そう応えるオルフは既に外に出てしまっている。俺は異常に大きいぬいぐるみを捨てるわけにはいかず、その背中に目一杯吠えた。
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