高瀬くん、ポッキー食べる?」

「あ、さんきゅ」
「うんっ」





「ついでにポッキーゲームでもいかがですかお二人さん」




「…………絵里……ちゃん…」



バスに乗り込んだ私はなんとも幸せなことに高瀬くんの隣りをゲットした!!

やったね!最高だ私!
(後ろが絵里ちゃんじゃなければもっと最高だったかも…なーんて。)

「夏姫サーン!俺にもポッキー!」
「あー。はいはい。お手したらあげるよ。ほら利央お手っ」

そして何故か絵里ちゃんの隣りには利央。
利央ってのは一年のくせに馴れ馴れしくてうざいくらい寄ってくるけど図体だけは無駄にでかい我が部の犬です、犬。ゴールデンみたいなね。


「夏姫サン俺を犬か何かだと勘違いしてない?」
「え、違ったの!?」
「うわぁあ!絵里サンッ夏姫サンが酷い事言うよォ」
「本当、夏姫のくせにねー?」

よしよし、と絵里ちゃんが利央を撫でる。

「えっ絵里ちゃん!あくまで私がいじめの対象ですか!利央が犬っぽいって言い出したの絵里ちゃんじゃん!!」
「そうなの?絵里サン」
「さぁ?夏姫の妄想じゃない?」


この子何なんですか…!?
私この子に何かしましたか…!?


「た、高瀬くんは利央は犬だと思うよね!?」


助けを求めるように高瀬くんに向き直る。高瀬くんは私がさっきあげたポッキーを片手に私を見る。(なんかかわいいぞこの図)

「んー…。ゴールデンレトリバー?」

「…………ッ!!!高瀬くんッそれ私も思ってた!!!だよね!思うよね!?」

ばっ、と高瀬くんの手をとり、目を輝かす私に、私の勢いに戸惑う高瀬くん。

高瀬くんと同じこと考えてたなんて幸せだ!!


「チッ」

「……………。」

「……………。」

「……………。」


舌打ち!?絵里ちゃん舌打ち!?
かわいい顔して舌打ちかましたよ!?


「え…えりちゃん?」

「夏姫………。よかったねっ」



突然語尾にハートが付きそうなくらいの笑顔を見せた絵里ちゃん。



「は、はぁ。」



しばらく絵里ちゃんは静かになり、突然何かを思い付いたように再びあの笑顔を私に向ける。

そして、急に挙手をした。


さらに大声でバス内にいたみんなに叫ぶ。










「夏姫がカラオケしたいそうでーっす」




















好きな子ほどいじめたいんだよ
(へ!?まっ!!私そんな事言ってませんて!!!)
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