「合宿ゥ!?」
<うん。>

「聞いてませんて私!そんなっ!!」
<言ってないもん。夏姫、知らないだろうから今こうして電話してあげたあたしの優しさ。>
「ああそうですかありがとう。
で?いつから?どうせ絵里ちゃんのことだから来週からとか言い出すんでしょ!はぁ…明日買い出し行かな<違うよ。明日。>

「あしたあああ!??ちょっと待って!!ってもうすぐ今日の時間になるんだけど!!今11時50分ですよ!?」
<そう。だからあたしそろそろ寝るね。明日は早いし。>
「ちょぉおおっ絵里!?絵里さん!!あなた私いじめてるだけでしょ!楽しいんでしょこのドSッ!!」
<ありがとう。>
「褒めてなあーい!!!」






そんなこんなで朝5時半に学校集合らしいので必死で準備した私。
偉い。超頑張った。
睡眠時間約1時間。
すごく眠い。
ってゆーか考えて見れば今日の帰りに高瀬くんが「明日から頑張ろうな」っていい笑顔で言ってくれたことからおかしいと思わなきゃいけなかったんだ…!
かっこよさに騙された…!(いや、騙されちゃいないけどさ。本当にかっこいいし!)







「おはよう夏姫。間に合ったみたいでよかった!」

きらきらとした背景が付きそうなくらい良い笑顔の絵里ちゃん。

「絵里ちゃんのばかぁー!」
「よしよし。」

おはようの意味を込めてハグ。
そんな私を絵里ちゃんは子供を相手するように撫でる。
今すっごく楽しそうに笑ってるよこの子絶対!!





私が野球部マネジになってから一週間。
本当に一年の子はやめてしまったらしく、私たち二人で頑張ってきた。(むしろ私が頑張ってきた)
絵里ちゃんと仲が良い(かどうか最近わかんなくなってきた)からか、部員のみんなと上手く打ち解けた。
人数の多い部だからマネジ業は大変だけど、やってみたら案外楽しいものだった。




「夏姫、夏姫、準備間に合ったんだなー」
「あ、慎吾さん!おはようご………なんでその事知って…」
「ちゃんと下着忘れず持ってきた?」
「死んでください。ちゃんと持ってきました。」

ちらりと絵里ちゃんを見ると笑顔で手を振られた。
くっそ!この二人グルで私で遊んでたんだ!!

「ちなみに準太がどーゆーの好きか知ってるか?」
「えっ!?」

ボソッと言われ、すぐさま慎吾さんを見る。
あたしが高瀬くんを好きなのを入部したその日に見破った慎吾さん。なんて人だ…!

「耳貸してみ?」

き、聞いていいのかな…?

ドキドキしながら慎吾さんが喋るのを待つ。
ゆっくりと慎吾さんの顔が近付く。






ふぅっ




「ひっぎゃあああああ!!」

しかし耳に来たのは慎吾さんの吐息だった。

「あっははははははははは」

腹を抱えて笑いだす慎吾さん。
笑いながら「なっナイス反応…!」と親指を立てて言う。

「ななななにすんですか!!!」

顔がかぁっと熱くなる。


「絵里の言ったとーり…お前耳弱いのな!」


キッと絵里ちゃんを睨むと絵里ちゃんまで親指を立てて微笑んだ。


「和さんー!!私もうこの人達と何日も一緒に居られる自信ないですー!」

もうこうなったら頼れるのは部のキャプテン、和さんだけ!
私は和さんの後ろに隠れてヤツらを見る。

「…慎吾も絵里もあんまりいじめすぎるなよ」

「「はーい」」

苦笑して言う和さんに口を揃えて良い返事をした二人。
絶対わかってない!


「ほら、荷物積んだらバス乗れよー」

和さんの言う事を聞いて部員が次々バスに乗り込む。



はっとして後ろを振り返ると高瀬くんがいた。
まだ今日一回も視界に高瀬くんを入れてなかったんだよね…!何と言う失態!ヤツらの性だ!!

「高瀬くん…!おはよ!」
「おはよう、星崎」

……………感動ですこれ!
日本語通じる喜び!
数日間高瀬くんと一つ屋根の下状態。
……うれしすぎる…っ!


「はいはーい。夏姫ーバス乗るよー」



絵里ちゃんに背中を押され、私は合宿場へ向かうバスに乗り込んだ。
















楽しい旅になりそうだ!
(ってゆーか厳しい旅になりそうだ…。)



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