||| 特異点
「あなたが生まれてこなければよかったと思うけどあなたの事はだいすきですよ」
「ナマエは難しいことを言うね」
「特異点が特異点じゃなければ良いのにって沢山思うけど、特異点じゃなかったらナマエは貴方に興味を持たなかったと思うんです」
「複雑だ」
「ふくざつです」
「思ったんです。逆説的に、特異点が生まれなければ何も始まらない。だからルシファーさまも死なない」
「どうなんだろう。僕が居なくても、平和を望む人はどこかで現れると思うけどな」
「ルシファーさまは世界を壊そうとしなければ死ななかった？」
「彼の事を知らないから、僕はそう思う」
「貴方に死んでほしいわけじゃなくて、でも貴方に生きてほしくもなくて……過去は戻らないって分かってるけど、もし今貴方を殺したら、この先の未来は絶たれて、いつかナマエはルシファーさまの身体を作り直せるんじゃないかって……」
「悩んでるんだ」
「とても」
「じゃあもう少し悩んでよ。僕が強くなって、彼と共存できる日が来るまで」
「なんですか？それ」
「僕が強くなって、何度でも世界を滅ぼす可能性を破壊する。そうすれば、ルシファーが蘇ってもナマエが悩むことはない」
「それはとても……現実的ではないような」
「あはは。まあ、そうなんだけど」