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||| シラカベミオ

「何よ、嫌味でも言ってるつもり!?」
綺麗な顔を歪ませたシラカベさんは、ただそれだけを告げて私の前から去っていった。振り返ることもなく、ただ私の存在すら見なかったことにするように早足で。
彼女の隣に立つメダロット──ラピスちゃんは、心配そうに私の方を見るけれど、私が何か言ったところで、何も解決しないのだろう。流石に、それくらいは嫌でも理解できる。
何も言わず静かに手を振って、ラピスちゃんにさようならをすれば彼女は小さくお辞儀をしてシラカベさんの背中を追うため走り出す。この場所に残ったのは、私と、私のメダロットだけだ。
「失敗しちゃったね」
「……うん、そうだね」
物心ついた時から側にいる相棒は、そう告げると二人の向かった方向へと目を向ける。
何がいけなかったのかは分からない。でも、私の言葉がシラカベさんを不快にしたのは紛れもない事実。彼女と仲良くしたかっただけなのに。……それとも、そう思うこと自体が駄目だったのかな。
はあ、とため息をついて窓の外へと目を向けても、遠くに広がる水平線が余計に気分を凹ませる。明日こそは、何か変わるだろうか。仲良くなれるだろうか。

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