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DISSOLVE







そして明日が来た。私は起きる。服を着替える。朝食をとる。だけど起きる時点でそれが阻まれた。固い拘束が私の肩の周りを縛っていた。

「リンクさん。」
「ん、ンン…」
「腕を退けてください。」
「んん、うん」

酷く掠れた声で彼は眠り半分に答え、腕の力を弱めてくれた。私は起きる。服を着替える。が、その前にシャワーを浴びることにした。彼のお酒の臭いと汗の臭いがまとわりついていたからだ。そんな折、彼の起床を知らせる絶叫が家中に響いた。

「うわぁぁぁああ!!」
「…おはようございます。リンクさん。」
「おま、っなな、なんで、ここここは…っど、ゲホッゲホッ、うぇ…何処だ!?」
「私の家です。」
「俺、なんで…まさかそんな…いやいや、きみは何で、その、薄着なんだ!!」
「汗を流そうかと」
「きゃああああああああああああ!!」

女の人みたいな高い声でまた絶叫。彼は過剰に私のベッドのシーツを手繰り寄せて体を隠しながら、バタバタと店の方への階段を降りていって店の扉から出ていった。シーツを取られた。代わりに彼はブーツを片方置いていった。よく解らない。私はお風呂場に向かった。

お風呂上がり、体を拭き、服を着替え、朝食を取り、店を開く。そうすればまた同じ一日の始まりだ。でも今日は違う。今日からは少し違う。考える。私の心が何処に行ってしまったのかをずっと思う。そうしながら全然別のところで、薬の調合のことを考えて作業する手。昨日より虹の粉末を多くしよう。心が何処かに行ってしまったのなら、私は探さなくちゃならない。そうすれば私が何故繰り返す日々を生きているのか解る筈なのだから。だけど何処を探せば見付かるのか、これもまた私は解らなかった。

「便利屋さんなら…こんな依頼も受けてくれるかな。」

昨日より赤みが増した薬を、よく撹拌してから飲み干した。これも、失敗みたい。




パリン




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