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手っ取り早く解決


(※変態なシーク)





























「貴方はいったい何処で、"こんなもの"手に入れたのかしら」

「君が着てくれたら教えるよ」

「着ませんけど!」


くしゃくしゃに丸めたイカガワシイ、黒の布を、彼の方へと全力投球すれば
シークは何事も無いかのようにそれをキャッチしそのまま流れるように両手で布を開く
パン、と見せつけるように広げたのはレース地の、黒の、面積小さい、下着



「何てことをするんだ君は」

「貴方こそ、自分が今何をしているのかを省みなさいよ!」

「美の追究がそんなに恥ずかしいのかい」

「逆に貴方が恥ずかしくないのはどうして!?」

「はぁ…名前、頭が固すぎるというのは、どうかと思うよ」



信じられない事を聞いた

広くもない私の家には彼の大袈裟な、ともすれば演技じみている溜め息がよく響く

壁を背に寄りかかり、下着を広げている吟遊詩人さんに言わせれば、いったいどれだけの人が頭が固いレッテルを貼られることか
常識というものがあるだろうに
彼に合わせるならば頭は豆腐の様に柔らかくなる恐れがあるんじゃないか、それだったら私ガチガチに固くて結構



「もう駄目、本当に…貴方には何を言っても無駄みたいね」

「その様だね、やはり話し合いでは埒が明かないよ」


私は椅子から立ち上がり、部屋の真ん中、の大テーブルを押して部屋の角に追いやる
シークは手の中の布を、速やかにそれでいて丁寧に畳み棚の上に避難させた

そうして二人は向かい合い、私は屈伸運動、シークは上体のストレッチ、それぞれ数分の準備を済ませる


「今のうちに謝れば土下座で許してあげるけど?」

「おや、いつも僕が手加減してあげているのを知らないのかい」



動き出したのは二人同時だったかもしれない
互いに本当に容赦はなく
蹴り、手刀、拳、頭突きが飛び交う
全く今日は彼が来るからと可愛いワンピースを着るんじゃなかった、動きづらくてたまったもんじゃない
などと顔をしかめていた私の顔を横切るものがあった

ヒュン、カッ、と壁に突き刺さったのは果物ナイフだった

ブチッ、と私の中の何かが切れる


「な ん て こ と !」

「怖じ気づいたなら負けを認めるんだね」

「そっちがその気ならねぇ…!!!」


私はクッションを盾にナイフの嵐をやり過ごし、キッチンの方へと滑り込む
引き出しから包丁を取り出して投げる

ああもう、また後で壁紙を取り替えなきゃいけないじゃない
だけど投げた刃が丁度あの下着を貫いたから良しとしよう




11.01.15.(四-破)


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