子供
(※病みシーク/微グロ?/気持ち悪い話)
「僕達の子供だよ」
そう言って彼は私達の"子供"を抱え近付いてくる
大切そうに、毛布にくるまれている"子供"の、頭、でも撫でているつもりなのか
シークの綺麗な指先は、それはそれは愛おしいものへするように往き来している
そうすれば、呼応するかのように"それ"がカリカリと中から引っ掻く音を立て、動く
ますます、彼の目は細められ愛に満ちていく
その異様な光景には、ただただ私の動悸が激しくなるばかり
やめてシークお願いだから、そんなもの持って近づかないで、私の大好きな微笑みを浮かべないで、お願いよ
「いい加減にして!」
近付く彼の肩を突き飛ばして、その反動のままに、私は壁へと退いて逃げた
さも心外そうに見開く、今にも涙を溢しそうな赤い目は、私に恐れしか覚えさせない
「僕は何か悪いことを…?」
「早く!っ…"それ"を捨ててきて!!私の目に触れさせないで!」
「そんな…、この子を捨てろと、そう言うのかい」
「私の子供じゃない!私達に子供なんていないの!」
"それ"が、シークの手から落ちる
くるまる毛布の中で、ドシャ、と変な音がして、続けざま、何かの金切りのような鳴き声がくぐもって聞こえてきた
ピギィ、ピギィ
その産声は鼓膜を削ぐように不快
メロン程もあった、灰色の、卵の、殻を、必死に掻き分けているのか、毛布が蠢いている
全く私がいつ哺乳類をやめて卵生の生き物に?
私が顔を歪め、また漂う魔物特有の異臭に鼻をつまんでいるところ
ぐちゃ
生々しく音を立て、わざわざ毛布を踏んでシークが再度私の方へ歩み寄ってきて、そして私の手を捕まえた
「僕を許してくれ」
手首を掴み、そして腕を掴み、そして肩
抱き込まれた私が上げるのは悲鳴だ
「僕達に子供は望めないんだ」
強い力で抱き締められて、体が軋むようだったから、痛いと言ったのに、シークはますます力を込め隙間を無くした
後退しようにも、背後に壁
「僕を許して」
苦しくて、彼の背を強く叩いた
それでも聞かないので肩や腕を掴んで引き離そうとする
それでも駄目
「嗚呼、名前、名前、どうか離さないで」
離さないのは貴方だ
11.01.21.(四-破)