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DEMON’S DEED

(※グロ?)




パキン、パキン

小枝が折れるような音が、人の呻きに紛れて鳴っていた



「ず…み、ず、、れ……を」
「え」

地に這う人が私の足を掴んだ。掠れてしまってよく聞こえないがしきりに訴えをしていた。
光のない淀んだ目が、落ち窪んだ瞼の奥から私を見上げていた。顔色は優れないを通り越して生気もない干からびた土色。


「これ…」


リンクさんが追い付いてきて路地裏の光景を目にした。言葉が無いらしい。私の足下にいる男性とも女性とも解らない、そんな人が何人も、暗く狭い小路に倒れて転がっていた。



「リーデッド!?」
「りーでっど?」
「こいつっ!離れろ!!」

リンクさんは私の足にすがるように手を上らせてきた人を、取り乱しながら足蹴にして引き剥がす。

「みず…」

はっ、としてリンクさんを止めた。彼にも、今の声は聞こえたようだ。一変して、リンクさんは顔を青くして屈み込むと、みず、みずと渇望する痩せこけた人に声をかけた。


「え、…ひ、人!?」
「……これは」
「み、みず、…みずぅ…ず、…ずっ…」
「何とかしろよ!なぁ!何か薬とか無いのか!!」
「…だめ、です。」
「何で!!」

「この人、…解らない、です。人じゃない。」


リンクさんは必死に自分用に持っていた水筒の水を飲ませるけれど、一向にその人の苦しみは癒せなかった。
私は足下の人じゃなく、奥に伏す人の形をした数多の影を見て、動けなくなっていた。それが後の、この、水を求める人の未来だと分かった。


ペタン、と潰れているのだ。人の形をした絨毯が敷き詰められているようだった。貴族の屋敷に敷かれた立派な熊皮のように、人が萎んで平らになっている。こんなことがありえるのか、私には解らない。

パキン、パキン、と音が鳴り続けている。
平らに横たわるそれらの中で動く人影があった。しっかりと立体的な体の、少年。少年は平らな人の一人を、足の方から折り畳んでいるのだ。乾いた洗濯物をしっかり棚に戻すかのようにきっちりと。人間の関節のあるところないところ、関係無く、ペロンと、皮だけのような人体を折って重ねる度、鳴る音は、きっとその中に残る申し訳程度の骨の折れる音。
リンクさんも、気付いたらしい。


「お前…何、してるんだ」
「…」
「この人たちは…何があったんですか?」

「……見に来るかい」



畳んだものを少し重そうに肩に担ぎながら、少年は笑って言った。





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