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それいけメタナイト卿!

(※微アニメネタ)





"競技場以外の乱闘禁止"
そんなルールが存在する原因は言うまでもなく血気盛んな選手達がそうしてしまうせいだ
ただのプライベートエリアやリラクゼーションエリアまで、乱闘の衝撃に耐えてくれるわけでもないし、休みたいときは休みたい、そういう選手達もいるという理由から自然とそう決まっている


しかしやはり己の信条を持つ彼らだからこそ、不意の機会に衝突が起こる
あるときは緑キャラといえばだれであるかなどという不毛なアイデンティティーの争い
あるときは幼稚な、しかし根源的な欲求に基づく美味しい料理の品々の取り合い
またあるときは戦績の善し悪しの不満をぶつける口論
果ては各々の元居た世界の文明文化に優劣をつけるなど

そんなとき決まって現れ不和の仲裁、成敗をしてくれる騎士がいる
決まって彼は高所から勇ましい声を降らせ、仮面から覗く眼光は誰をも閉口させてしまう
この世界の無秩序にたった一つのルールが通っているのもひとえに彼のおかげであろう

人々は敬意を持って彼をこう呼ぶ




「――メタナイト卿!!」


「憎しみあうだけの戦いはそなた達の義に反するだろう、即刻矛を納めるのだ」

争っていたのはマルスとリンク
そして間には困り果てた顔の名前がいた
しかしながらメタナイトの姿を認めると信頼に目を輝かせ彼女は安堵した様だった


「…名前は俺とこれからチーム戦だ!何日も前から約束してたんだぞ」
「だけど彼女はさっき僕のお茶の誘いを受けてくれた」
「ご、ごめんなさい…私、リンクとの約束をすっかり忘れてしまっていて」
「だから名前、僕と行くだろう?」
「お茶なんていつでもいいだろ、俺達はもう選手登録したんだから取り消し効かないんだって!」
「ごごごごめんなさい、私、身体を真っ二つにしてお二人にそれぞれお付き合いしたいくらいです」

「いい加減にしないか!私の滑空攻撃をくらいギャラクシアの錆となりたいか!?」

何かおかしい…、そう感じたメタナイトの声には些か焦りが浮かぶ
いつもの調子なら当事者がすぐに過ちに気付き反省の色を見せ、既に喧嘩は収まっている頃
しかしどうしたことか、二人にはまるでメタナイトの声は届かず、口論を止めないのだ

違和感に気付いたのは名前だ
今日ばかりは自棄にメタナイトが小さく見える
なぜかと言えば場所が問題だった
そこは大闘技場とプライベートエリアを繋ぐ廊下の片隅
白い四角い景色が続くばかりの単調で事務的な空間で
それが何故問題かと言えば、メタナイトが登って高い目線になれるようなオブジェクトが一切存在しないからだ

メタナイトの全長は彼らの身長の半分にも満たない
そういえばいつも仲裁に現れる時のメタナイトは、シャンデリアの上、ソファの背もたれ、バルコニーの柵、いつも何かの上に立っていたなぁ、と名前は思い返し、確信する



「め、メタナイト卿」


名前は廊下に手膝をダンッと叩き付けん勢いで四つん這いになった

「名前?…何を」
「あ、私は名前じゃなくて、岩的なものです」
「…ありがたい、丁度良い高さだ」

そうしてメタナイトは名前の背に飛び乗り十分な高さを得ると、何処かいつも以上に勇ましい声で再度声を張った


「そこまでだ!」


良く通るメタナイトの声にハッとしてマルスとリンクが振り向き見た
その光景に二人は驚きたった今まで言い争っていた内容も吹っ飛んでしまった


「えええ何やってんだメタナイト!名前も!!」
「女性を足蹴にするなんて…!」
「何を言う、そなた達が争いを止めないから私にこうさせたのだ」
「そういう問題じゃっ――」


「あ、私は寧ろ嬉しいので大丈夫です」



「……」
「……」



「メタナイト卿も丁度いい重量ですね」
「うむ」




それからしばらくこの世界では嫌に静まった平和な日々が続いたとか





10.12.18.


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