基山と不動   


「不動くん、チョコあげる」
「は?」
 いきなり声をかけられて振り向けば、丁寧にラッピングされた箱が差し出された。

「洒落になんねぇからやめろ、今日何日だと思ってんだ」
「2月14日。バレンタインデーでしょ?」
 それがどうした、と微笑む。
「海外では同性や友人にだって贈るんだよ。みんなにあげてるんだ」
「あいにく俺は日本人なんでね。それに、甘いものは嫌いだ」
「ビターだから大丈夫、ね?」
 いいからもらってよ、と押し付けられ、断るのも何だか面倒で受け取れば、満足したように去っていった。変なやつ。

 部屋に戻ってから箱を開けてみると、どうやら手作りらしいそれは確かに甘過ぎず食べやすそうで。せっかくもらったのだから捨てるのも悪い、なんて机に置いて食堂に向かった。

「並んで並んで」
「一人一個ね」
「アレルギーとかある人いないよね?」
 妙に騒がしいと思ったらどうやら菓子類を配っているらしく、マネージャー達に紛れ、先ほど見たばかりの赤髪もあちこち動き回っていた。
 そしてクッキーを、配っていた。


「あれ? ヒロト、不動には渡さないのか?」
「もう先に渡したんだ」
「なんだ、そうなのか」
「うん。……特別だからね」
「ふーん……。そっか!」
 よくわからないや、なんて笑う我らがキャプテンから離れ、近寄ってきたあいつと目が合う。

「嘘はついてないよ」














―――――――

補足すると、ヒロトがみんなにあげてるって言ったのは本当。ただ不動にあげたのは本命だったという……。うまいことだまして受け取らせたわけですね。
山も落ちもない話ですね、すみません。
しかしマイナーである。
一月遅れのバレンタインネタその3


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