弱虫ペダル 長編 | ナノ
最終学年のクラス発表 (1 / 2)





長い冬も終わりを告げ、暖かな春が訪れた
桜が咲き誇る中 女子寮や家から箱根学園まで続く道を通って校舎に入り、靴を履き替えて3年の教室がある階に行けば 最後のクラス分けが貼られていた

『遥、ゆい 何組になった?』

「わたし C組!」

「うちはB組〜」

『私はA組、今年は皆離ればなれなのね』

1年2年と同じクラスだった私達は、そう言いながら3人でもう一度クラス分けを見る
A組のクラス名簿には“神代梨央”、B組のクラス名簿には“譜久村遥”、C組のクラス名簿には“美波ゆい”の名前がはっきりと書かれていた

「知ってる人いるかなぁ?」

「いや、わからん」

ゆいの言葉に返した遥
そしてまた私達3人は自分のクラスの名簿を見た

『自転車競技部の新開隼人って人と主将の福富寿一って人が同じクラスだわ』

私は名簿に書かれている“新開隼人”と“福富寿一”と書かれた文字を指差した
私と遥とゆいが通う私立箱根学園高等学校はロードレースという自転車競技の名門校
だからか、自転車競技部の人達の名前は知られている
私と同じクラスの“新開隼人”という人は“箱根の直線鬼”って呼ばれてるらしい
もう1人の“福富寿一”という人は自転車競技部の新主将でありエースらしい

「うちんとこは荒北靖友って人がおるわ」

B組の名簿を指差しながら言う遥
“荒北靖友”という人も昔は元ヤンだったけど、今は“運び屋”として有名だとか

「わたしのとこは東堂尽八って人だよ
この人、ファンクラブまである人だよね?」

そう言いながら名簿を指すゆい
確かに“東堂尽八”という人は“山神”の異名を持ってるとは聞いたけど、ファンクラブがあるほど人気だったんだ
ま、自転車競技部に知り合いがいる訳じゃないし関わらないだろうからいっか
それからチャイムが鳴るギリギリまで3人で話してから、それぞれ新しいクラスに入っていった





───3年A組───

新しいクラスの教室に入り、黒板に貼られた出席番号順の座席表を見て 自分の席を確認して席に向かう
去年 同じクラスだった子も何人かいる事がわかり、その子達と軽くやり取りをしながら自分の席に着く

「俺の隣はおめさんか」

席に着くや否や声をかけられて、私の隣の席を見れば赤髪にパワーバーを食べている男
パワーバーって食べ過ぎると口の中の水分が取られるのよね、パサパサする
そんな事を思いながらも返事を返す

『貴方が私のお隣さんなのね、よろしく
私は神代梨央』

「俺は新開隼人、よろしくね」

…新開隼人?
じゃあこの人が箱学の自転車競技部に所属する“箱根の直線鬼”って言われてる人?
そんな風には見えないけど

『貴方が新開くん?
“箱根の直線鬼”って言われてるんでしょ?そんな風には見えないね』

「ん?もっと怖そうな人だと思った?」

『うん、だって鬼って言われるぐらいだから』

見た目から怖いのかと思った と言えば、それは自転車に乗っている時の話らしい

「見た目も怖い方がよかった?」

『いや、優しそうな人で安心した』

改めてよろしく と言いながら軽く会釈すると こちらこそ と同じように会釈された
すると新開くんに近付いてくる金髪の人

「新開、今日の部活前にミーティングがある」

「あ、寿一」

新開くんに寿一と呼ばれた人は新開くんを見てから私を見た
私は寿一と呼ばれた人を見て 一つの答えにたどり着く

『もしかして、主将の福富寿一くん?』

「神代さん、寿一と知り合い?」

新開くんの言葉に軽く首を振り 有名だからね と言えば納得された
さすが名門校とでも言っておこうかしら

「福富寿一だ」

『神代梨央よ、よろしくね』

それからは始業式やらなんやらでバタバタしたけど、自転車競技部の人と関わりを持つ事になったのは言うまでもない
さて、これからどうなるのかしら









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