弱虫ペダル 長編 | ナノ
変態1年 真波山岳 (1 / 5)






───美波ゆい目線───

『あ、今日 自転車部行きたいんだけど』

「いってらっしゃい」

「梨央、うちらも行くで」

東堂がうるさいじゃない とため息を吐いてブラックコーヒーを飲む梨央
そう言えば、昨日 朝から梨央がどうたらとかコーヒーがどうたらとか何かに動揺しながら東堂が言ってたっけ?
結局、何が言いたかったのかわからないけど

「自転車部行って、何するん?」

『昨日のベプシ代を返しに』

「なら教室に行けばいいじゃない」

「…梨央はどんだけ行きたないねん」

遥が呆れながら言うけど、梨央は 東堂が抱き着いてくるから、あ…でも泉田くんの筋肉触りたいから行こうかしら って言いながらお昼ご飯のサンドイッチを食べてる
うん、…梨央はやっぱりマイペースだね

「あ、そう言えば東堂が合宿がどうとか言ってた気がするわ」

「言ってた気がするって、ちゃんと聞いてないんかい!」

梨央にツッコミを入れる遥を見ながら、唐揚げ卵とじ(親子)丼を食べた
そしてお昼が終わる直前 放課後に待ち合わせと約束してから解散した



『失礼しまーす』

放課後になり、梨央達と一緒に自転車部の部室に来て扉を開けた
そこには練習着に着替えたメンバーが居た
そしていち早く気付いたのはもちろん

「梨央ちゃんではないか!」

「はいはい、わかったから離れなさいよ」

梨央を見つけて駆けつけたのはとーどーだった
梨央の言葉はお構いなしにギューって梨央を正面から抱き締めるとーどーからは幸せオーラが出ているように見える
よっぽど嬉しいんだね、とーどー

「遥ちゃん」

そんな声が聞こえて、部室の方を見れば 遥に声をかけるかいくん
……、今 かいくん、遥の事を名前で呼んだ?

「はっ 隼人くん」

『えっ!遥!いつからかいくんの事、名前で呼んでるの!?』

き…昨日から って照れながら言う遥
…うん、可愛い!可愛すぎるよ!遥!

「だから、今日のお昼の量も多かったのね」

「う 嘘やん!ほんまに!?」

梨央の言葉に遥は驚いてたけど、梨央は冷静に うん と軽く頷いた
わたしも今日の量を見て気付いてたけど、まさかお互いに名前呼びになってたなんて
遥は恥ずかしそうに軽く頬を紅くしてる
可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い!!

「さっきからうるせェんだよ」

その言葉で、わたし達はその人物を見た
そう、わたしはこいつに用があって来たんだ

『荒北、昨日のベプシ代 返すよ』

その瞬間、荒北が固まった
……え?そんなに驚くこと?

「……」

『え、なに?
ただでさえ目つき悪いのに余計変な顔になってるよ』

「…おめーはほんとにバァカチャンだな」

『だからバカって言う方がバカだから!』

そう言い返せば …はぁ と軽いため息
……あれ?言い返してくると思ったんだけど、言い返してこないって事は自分がバカだって認めた!?

「神代に譜久村、美波も一緒か」

「おはようございます」

「おはよ〜ございま〜す」

さらに奥からわたし達のところに来たのはフクちゃんといずみんとがっくんだった
あ、がっくんは真波山岳の山岳からがっくんね!

「一緒やで!どないしたん?」

「そうか、お前達に頼みたい事がある」

頼みたいことって何だろ?
遥も梨央もわたしもフクちゃんの前に立つ
あ、梨央 なんとかとーどーを離したんだ
…とーどーはなんだかんだで梨央の隣に立ってるけど

「頼みたい事だが、まず知っておいてほしい事がある」

『知っておいてほしいこと?』

「そうだ、毎年 自転車部は体育祭の後にインターハイに向けて強化合宿を行なっている」

フクちゃんの話を聞いて、隣の梨央が 体育祭っていつだったかしら? と言った言葉に対し、とーどーが 6月に体育祭で合宿は7月中旬ぐらいだ と言った

「その強化合宿に参加してほしい」

フクちゃんの言葉にいち早く返事をしたのは、もちろん梨央だった

「福富くん、悪いけど私はパスで」

「梨央ちゃん!なぜだ!」

「めんどくさい」

ならんよ!そんな理由では認めん!! って梨央に言うとーどーだけど、言われた梨央は いやよ と返した
そんな2人は置いといて…

『どうしてわたし達なの?
運動部に入ってたわけでもないのに』

「これは3年全員の頼みだ」

フクちゃんの話に寄ると、前回のマネージャー体験の時 コーチの人がわたし達の働きみたいなのをフクちゃんに伝えて、それを聞いた3年生全員がわたし達に助っ人として入ってほしいって事になったんだって

「もしうちらが助っ人で入ったとしたら、何しなあかんの?」

「マネージャーの仕事はいろいろあるが、お前達には主にインターハイメンバーのサポートにまわってもらいたい」

自転車競技部はほとんど休みがないから、マネージャーで入部してもすぐに辞める人がほとんどらしくて 1年生や2年生が雑用をしているらしい
寮から通ってない子だと、朝練とか大変だよね

『わたしは楽しそうだし、やってみたい!』

「うちはバイトしてるし、家から通ってるから行けない日があると思うけど…それでもえぇんやったら!」

わたしと遥の言葉にかいくんやフクちゃんは安心した様子を見せた
そしてわたしと遥も含め全員でとーどーと話している梨央を見た
とーどーが一生懸命梨央を誘ってるけど、梨央はとーどーを無視してフクちゃんを見た

「今は強化合宿だけって言ってるけど、インターハイのサポートもなんでしょ?」

強化合宿に参加させるのは、インターハイのサポートが出来るために必要だからね って言う梨央にかいくんがヒュウと言った

「そうだ、その為にも参加してほしい」

「やっぱりパス
前の体験で大変そうだったのはわかったけど、私が居ても邪魔になるだけだろうし」

フクちゃんの言葉に梨央が冷静に答えた

『おもしろそうだからやろうよ〜!梨央!』

「ほんまや!!何事も経験やで?」

「その通りだぞ、梨央ちゃん!そして俺の走りを近くで見る事が出来るぞ!」

東堂はどうでもいい と冷たく返した梨央はわたしと遥の言葉に 足手まといになるから と冷たくはなく、眉を少しだけ下げながら返した
梨央の表情からすると、本当に足手まといになるのは嫌なのだとわかる
前の体験が終わって、寮に向かって帰ってた時 大変そうだったわね って少し心配してたし…
とーどー以外の誰もが梨央をマネージャーにする事は無理かと諦めたその時、遥が何かを閃いた

「梨央!マネージャーになったら筋肉見れんで!」

その言葉に男子が全員反応した
さらに筋肉が好きな梨央も反応を見せた

「…本当?」

「ほんまやって!東堂も筋肉見せてくれんで!」

やんな!東堂! ってとーどーに話を振った遥
そうだよ!その手があったんだ!なんでこんな大事な事を忘れていたんだろ!
遥の考えに気付いたとーどーも話を合わせた

「その通りだ!マネージャーになれば俺の美しい筋肉を近くで見る事が出来るのだぞ!」

「私 筋肉触りたいのよね」

なんか梨央らしい爆弾発言がサラッと出た事に対して男子が驚いていたが梨央が食いついた!
これはチャンス!

『触りたいなら触れるよ!
とーどーも梨央が触りたいって言ったら触らしてくれるって!
ね!とーどー!』

目で 頷け! と訴えれば、それに気付いたとーどーが驚きながらも話を合わせた
とーどー、梨央の事になると本当に頑張るね

「そ そそそうだぞ!梨央ちゃんが触りたいと言った時には触らしてあげようではないか!」

「………足手まといにならないようには頑張るわ」

少し考えながら言った梨央の言葉にとーどーが喜んでまた抱き締めた
インターハイメンバー以外の部員達がその状況にツッコミを入れそうになったのを遥と共に 何も言うな と目で訴えたのは言うまでもない
この努力を水の泡にしたくないもん









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