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▼ ジョルジュ



「あー!モテたい!」

そう叫んで足をバタバタさせれば、前の席に座っていたジョルジュ殿が微妙な表情をした。何を言っているんだこいつは、という目をしている。だんっと勢いに任せて飲んでいたコップを置けば、見かねたように彼は口を開いた。

「クリス、おまえは整った顔をしているし性格はともかく男が黙っているとは思えんが」
「そういうことじゃないんですよジョルジュ殿」

眉を顰める私に彼は「意味がわからんな」と少し首を傾けた。綺麗な金色の髪がさらりと肩から流れ落ちる。

「どういうことだ、まさかオレに気でも…」
「冗談はよしてください」
「即答か…なびかんな、お前は」

少し面白そうにこちらを見つめるジョルジュ殿と違い、私は仏頂面だった。ジョルジュ殿はとても美しい顔をしている。憂いを帯びた表情に大陸一の弓使いと称される彼。さらには先ほど私を当然の流れの如く口説いたりと、いつも女の影が絶えない。私はそこに激しく嫉妬していた。

「私は女の子たちにモテたいのです、野郎なんてお呼びではありません」
「お前も女だろう」
「そうですけど…」
「オレと共にいれば女の子も寄ってくるかもしれんぞ」
「遠慮します」

熱の篭った目でこちらを眺めるジョルジュ殿をにらみつける。私はあなたではなく、あなたのように女の子にモテたいのです!



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