▼ レオ
城内を散歩していたら、バルボさんと話しているレオさんの姿を見掛けた。レオさん、強くてかっこよくて私の憧れの人。
「レオさん、レオさーん!」
「あら、なによナマエ?」
大きく手を振りながら近づけば、彼は警戒したように眉根を潜める。そんな表情も素敵だ。
「レオさん大好き!」
「…それを言うためだけに、アタシと兄貴の会話を邪魔したってわけ?」
「はい!」
ニコニコと笑う私を見て、呆れたように溜息をつくレオさん。彼と対照的にバルボさんはいい笑顔をしていた。がしがしと私の頭を撫で、豪快に笑う。
「おおナマエ、お前は本当にレオが好きだな」
「勿論です!レオさんのお嫁さんになりたいです!」
「ちょっと、兄貴の前でなに言ってるのよ」
バルボさんは私にとって父親のような人だ。彼は私に対して一等甘く、私の意見に対しても肯定的だ。だからかバルボさんの言葉を聞いて、レオさんは少しだけ機嫌を悪くしたようだ。ぶっすーと口を尖らせて私を睨んでくる。
「どうすれば、レオさんは私と結婚してくれますか?」
レオさんは目元がスッとしているから、睨まれるとちょっと怖い。だけど私は負けじと視線を合わせ、彼にそう問うた。考え込む彼。
「そうね…アタシと死ぬまで一緒にいてくれたなら考えてあげるわ」
「ええ!?それって一生結婚できないじゃないですか!」
頭を抱える私を、さっきとはうってかわり楽しそうに見つめるレオさん。そして重い表情でレオさんを見るバルボさん。どうしたんだろうバルボさん、結婚できない私に同情でもしてくれているのかな。
「アタシから逃げちゃダメよ、ナマエ」
「はい!」
とにかく、振り向いてもらうにはまだまだ時間がかかりそうだ。
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