「兄さん!」

 笑顔で走り寄ってくる弟の声に、玄関でサンダルを履いていた俺は顔を上げた。ちょうど今履き終えたところで、タイミングのいい奴だとこっそり口角を上げる。

「どうした」
「今から任務なんでしょ。だから、お見送り」

 へへっ、と笑う弟が可愛くて、任務前の憂鬱な気分が晴れていくのを感じた。俺にとってこの笑顔が、何よりも温かい太陽なのだ。
 まだ何も知らない、純粋な弟。この子はどうか、自分のような血塗れた道を歩かないでほしいと願う。

「帰ってきたら、手裏剣術の修行に付き合ってよね」
「何だ、それが目的か」

 笑いながらそう言えば、サスケは、「ち、違うよ!」と慌てて否定した。

「本当に見送りに来たんだって! 手裏剣術の修行はついでに言ってみただけ!」
「わかったわかった。帰ってきたら見てやる」

 この何でもない日常を感じることのできるやり取りが、とても愛おしかった。

「行ってくるよ、サスケ」
「行ってらっしゃい、兄さん!」

 里を、弟を守るためなら、俺はこの手を赤く染めよう。

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