「おい」
「……」
「白哉」
「……」
「白哉!」
「……何だ」
「いい加減にしないか。さっさと飲んでしまえ」
「……」
「まただんまりか」
「お前にやろう」
「いらぬ。俺が飲んでも意味がない」
「……」
「はぁ。苦手なのか」
「……(ぴくっ)」
「苦手なんだな」
「苦手ではない。味が好かぬ」
「それを世間一般では苦手というんだ」
「お前に世間一般などと言われたくない」
「……さっさと飲め」
「……」
「頭痛がひどいのだろう。顔をしかめて、頭を押さえていたではないか」
「もう治った」
「嘘をつくな。確かにこの薬は苦いが、あっという間に痛みを抑えられるものだと卯ノ花隊長が言っていたぞ」
「……粉薬」
「ん?」
「粉薬は、嫌だ」
「……子供か。気持ちはわからなくもないが」
「何も苦味が苦手なのではないぞ。粉薬の苦味が好きではないのだ」
「わかっている。だが飲まねば治らぬぞ。ほら」
「……(ふいっ)」
「顔をそらすな、主」
「……」
「もうすぐすると、ルキア殿が帰ってくるぞ。いいのか? 大切な義妹に、粉薬が飲めずに難儀している姿を見られても」
「!」
「敬愛する兄のそのような姿を見て、ルキア殿は何と言うだろうな」
「……千本桜」
「うん?」
「……薬をよこせ」
「! ようやく飲む気に……主いいいいい!?」
「……」
「何をしている! なぜ粉薬を池に投げ入れるのだ!」
「何のことだ。薬なんぞ、私は知らぬ」
「……証拠隠滅のつもりか」
「だから何の……ッ」
「ほら見ろ。痛むのだろう」
「うるさいっ」
「安心しろ、主。薬は二日分もらってある」
「!?」










(その子供っぽいところを、俺の前では隠さずにいてくれることが嬉しくもある)

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