(今日の稽古はこれくらいにしておくか……そろそろ屋敷に戻らねば)
「白哉」
「! 父様……!」
「まったく、こんなところで一人稽古かい? 屋敷からずいぶんと離れているじゃないか」
「……そ、それは……」
「顔に傷まで作って……いったい何の稽古をしていたのやら」
「……申し訳ありません」
「ふふ、わかればよろしい。ほら、顔を上げなさい」
「……」
「帰ろう、白哉」
「はい」





「あの、父様」
「うん?」
「どうして私のいる場所がおわかりに?」
「白哉のいる場所なら、どこだってわかるよ」
「……霊圧を辿って来たのではないのですか?」
「さぁ、どうだろう?」
「父様!」
「ふふ、ごめんごめん。で、白哉は何の稽古をしていたんだい?」
「内緒です! 完璧に会得してからお見せします」
「じゃあ楽しみに待っているよ」
「はい!」
「ただし、無茶はしないようにね」
「うっ……はい」
「帰ったら、夕餉の前に湯浴みをしておいで」
「父様は?」
「白哉が一緒に入ってほしいなら入るよ」
「ひ、一人で入ります!」
「はは、冗談だよ。一緒に入ろう。背中でも流してもらおうかな」
「……父様は少し意地悪です」
「そうかい? ならきっと、それは白哉にだけだね」
「なぜですか?」
「可愛い子にほど意地悪になるものだよ」
「可愛くなどありません!」
「おや、見てご覧」
(無視された……)
「綺麗な夕焼け空だ」
「……真っ赤ですね」
「白哉」
「はい?」
「手、繋ごうか」
「わ、私はもう子供ではありません……」
「私が繋ぎたいんだ。ほら」
「……〜っ!(きゅ)」
「ふふ」
(父様の手……温かい)
(大きくなったね、白哉)










(いつまでこうして、我が子と並んで歩けるだろうか)

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -