「よう、白哉」
「……黒崎一護」
「悪ィな、こんな夜中に窓から」
「そう思うのなら、昼間に正面から来い」
「昼間は部屋の前に爺さんいるじゃねえか。俺、前にここに来たとき、すんげえ嫌そうな顔されたんだぜ」
「……私に刀を向けたのだから、当然だ」
「何だそれ。お前だって俺に刀向けたじゃねえか」
「私と兄を同じにするな」
「……何かムカツク」
「して、私に何用か」
「え、ああ……いや、別に用っていう用はねえんだけど」
「?」
「傷、大丈夫か?」
「ああ……まだ完全に塞がってはいないが、問題ない」
「……そっか」
「兄の傷は」
「俺はもう全快。井上に治してもらったからな」
「そうか」
「あ、白哉も井上に頼んで治してもらうか? お前一人ならすぐに治せるだろうし、井上も協力してくれると思うぜ」
「……いや、いい」
「でもお前、まだ治ってねえのに病室抜け出したりしてんだろ」
「どこでそれを……」
「ルキアと恋次から聞いた。二人とも、すっげえ心配してたぜ」
「大袈裟な」
「でもよ、やっぱ完治してねえのに出歩くのはよくねえって。だったらさっさと完治させた方がいいだろ?」
「……」
「うっし! じゃあ明日、井上も連れて来るわ」
「結構だ」
「おう! ……って、何でだよ!」
「……」
「何でそこまで……」
「この傷には、意味がある」
「!」
「いずれ傷痕は消えるが、私はこの痛みを忘れてはならぬ」
「……」
「故に、力を使ってまで治す必要はない」
「……そっか」
「わかったのであれば早々に立ち去れ」
「なっ……人が心配して来てやったってのに!」
「誰も頼んでおらぬ」
「(ッの野郎……!)わぁーったよ! 帰ればいいんだろ、帰れば! 邪魔したな!」
「もう来るな」
「頼まれたって来ねえよ! それから、あんまりみんなに心配かけんじゃねえぞ!」
「……うるさい」
「じゃあな!」

 ――ガラガラ、ピシャン。

「……ふん、馬鹿者が」










(少しだけ、傷が疼いた)

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