―じゅこーっ
けして上品ではない音をたてて飲み干したいちごオレのパックを潰す。
そしてまた新たにどこからともなく出したパックにストローを刺す。
「それ何個目?」
「3個以上」
「飲みすぎ」
なにも持っていないその手で喜多は名前の頭を小突いた。
名前が持っている袋の中には同じパッケージが確かに最低でも5つはあった。
背負うリュックの中には恐らく同じように潰されたパックが数個入っているのだろう。
「一番、コーヒー苦くないの?」
小突いてない方の手、右手に持つのは缶に入ったコーヒー。
名前は横目でそれを見て喜多を見る。
「名前ほど子供舌じゃないよ」
「苦いものがダメで甘い飲み物が好きなだけですー」
「子供っぽい」
「宵一もわたしと同じなんだけ、」
可愛らしいリップ音ならまだしも、そんな音すらしないキスをされる。
(普段は抱きつけば照れるくせに…!)
「お子様」
「お黙り!」