なんでオレが怒っているか。
先ずそこから。
オレに組み敷かれている名前は、"超"と言っていいくらいのお人好し。
誰にだって声をかけるくらいの。
それが祟って、名前は色んな人間から好かれている。
性別をも越えてね。
同性からだってライクとラブ両方うけてるんだよ?
だったらもちろん、異性からだってそう。
だから、
だから、
物凄くイライラするんだ。
「だってキミは…名前は、オレの彼女でしょ…」
「夜桜…?」
オレが怒ってる、いや、嫉妬してるのは気付いてるはず。
いつにも増して優しく名前を呼びながら頬を撫でてくれる名前にちょっとだけ安心する。
「みんなにいい顔しないでよ…オレだけにいい顔してればいいんだよ…」
「これは性分だから直すのは難しいよ」
でも、そうやって言葉を紡いだ名前は、とびきり優しく微笑みかけた。
「夜桜にしか見せてない顔って、けして少なくはないよ?」
全て包み込んじゃいそうな笑顔にドキドキは隠せなかった。