End-No.4:純愛カニバリズム | ナノ
End-No.4:純愛カニバリズム

 狂おしいほどの思いが辿り着いた究極の愛――それを啜り、滴る雫ごとごくん≠ニ飲み込んだ。

 最初は味と臭いが生理的に受け付けず、何度か吐いてしまった。けれど、吐いては食べ、吐いては食べを繰り返していたら慣れたか麻痺したか、今では美味しいとすら感じる。

 甘い、苦い、辛い、しょっぱい、どれにも該当しない不思議な味。濡れた唇を舐めながら『愛って不思議な味がするんだね』と話しかけた。
 
 バケモノ、壊れ物、狂人――あなたはそう呼ぶけれど、ボクは壊れてもいなければバケモノでもありません。勿論、狂ってなどいるわけもない。
 ただ[愛]というものがなんなのか考えたら、こうすることが当然のことだと思えたのです。

 一番最初に食べたのは指。
 いつも乱暴にされていたけれど、時折優しく撫でてくれる手が大好きだったから。
 
 次に食べたのは――罵倒されるのは予想していたけれど、まさか『助けて』と哀願されるとは思わなかった。四肢と目だけ食べて、箱の中へ大切にしまって置くのも良いな、なんて。

 ……でも。それじゃあボクの[愛]を証明できない。ボクはあなたを愛してる、愛してる愛してる愛してる。心の底から、魂を捧げても良いぐらい、あなたを、愛してるんだ。
 
 『どうしてこんなことを』と、あなたは言う。

 だって仕方ないでしょう? あなたはいくらボクが言葉にしても全然分かってくれないから、分かって貰うためには行動で示すしかない。なんだ、もっと最初からこうすれば良かった。

 ボクはあなたを愛しています――うっとりと呟いて。
 ボクはあなたを愛しています――血で汚れた頬を撫でる。
 ボクはあなたを愛しています――赤い唇を噛みちぎり。
 ボクはあなたを愛しています――それを咀嚼しなながら。
 ボクはあなたを愛しています――にこりと笑った。
 ボクはあなたを愛しています――見開かれた瞳を見つめ。
 ボクはあなたを愛しています――熱っぽい溜息をひとつ。
 ボクはあなたを愛しています――左右違う色の綺麗なきれいなキレイなお目々。
 ボクはあなたを愛しています――それは最後のお楽しみ。
 ボクはあなたを愛しています――だから怯えないで。
 ボクはあなたを愛しています――今まで有り難うございました。
 ボクはあなたを愛しています――これからも宜しくお願いします。
 ボクはあなたを愛しています――ボクはあなたを愛しています。
 ボクはあなたを愛しています――ボクはあなたを愛しています。
 ボクはあなたを愛しています――ボクはあなたを愛しています。
 ボクはあなたを愛しています――ボクはあなたを愛しています。
 ボクはあなたを愛しています――ボクはあなたを愛しています。
 ボクはあなたを愛しています――ボクはあなたを愛しています。
 ボクはあなたを愛しています――ボクはあなたを愛しています。

 ボクはあなたを愛しています――愛しています愛しています愛しています愛しています愛しています愛しています愛しています愛しています愛しています愛しています愛しています愛しています愛しています愛していますあいしていますあいしていますあいしていますアイシテイマスアイシテイマスアイシテイマスアイシテアイシテアイアイアイアイアイアイア……。 

 だからあなたもボクのことを愛している、そうでしょう?
 
 ――ねえ、父様。

――――――

究極の愛のカタチ。

2010/12/07
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