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▼ 騎士の居ぬ間に茶

※くっついた後設定なので甘いです(当社比)


「クラッカー様ァ!!……マ、ママが!!…食いわずらいを…!!」
「………今行く」

午前のおやつそろそろ終わりという頃、飛び込んで来た部下からの助けを求める声にクラッカーは時間をかけて不満を飲み込んだ。

「行ってくる、直ぐに戻る」
「、いってらっしゃい」

クラッカーがいなくては完全に手持ち無沙汰だ。城内を散策しようにも迷わない保証はなく、また闖入者と誤解されないとも限らない。 しょうがないので1人でゆっくり茶飲みを続けるかなとキッチンに立ったその時、部屋の扉をノックする音が響く。

返事をすると長身なクラッカーよりも更に大柄な短髪の男が入室してきた。タッセは予想外の姿に目を瞬かせる。

「確かクラッカーさんのお兄様の…」
「次男のカタクリだ」
「今彼は外出中ですが、」
「別に急ぎの用でもないから気にするな」
「そうですか…」
「ああ…」
「…」
「…」

流れる沈黙が辛い。辛うじて名前と顔が一致する程度の彼の兄と何を話せば良いのかも分からない。

「……かと言って暇だな…」

タッセからすれば暇よりも気まずさが混ざるのだが敢えて言うこともない。

「暇つぶしになるものを取ってくる」
「は、はぁ…」

言うや否や席を立ったカタクリをタッセはただ見送る。そのままクラッカーが戻ってきてから出直して貰えれば…などと考えてしまうが詮無き事である。

「とりあえずお茶でも淹れよう…」

紅茶でいいよね、という独り言を聞くものはいなかった。





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