※原作から25年前※お相手ほぼ不在



ゴールド・ロジャー、ロジャー海賊団、ロジャー、…海賊王

パイチェはため息と共に新聞を畳みテーブルに置いた。柳の眉が軽く内側に寄ってしまっている。組んだ脚はそのままにソファに背を預けた。窓の外に視線を向ければ重々しい灰色の空が広がり今にも大粒の雫が落ちてきそうだ。

どの新聞もこの、ロジャーの名前ばかり。全ては先日この男に宝物庫への侵入を許したせいだ。おかげで近頃のビッグ・マムの機嫌は良いはずが無く、ホールケーキアイランド周辺は悪天候続き。娘息子を含めた部下皆が機嫌をとろうとしても下手を打って逆効果になることすらあった。

…出来ればもう少しだけ引き伸ばしたかったのだが、この非常事態だ。やるなら今しかない。

パイチェは立ち上がりクローゼットに向かう。勝ち戦でも、だからこそ戦装束に抜かりがあってはならないのだ。

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