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▼ 製菓用小麦粉と砂糖

「こりゃまた買い込んでいくねぇ…多めに仕入れといたってのに殆ど無くなっちまったよ」
「ご迷惑をお掛けします…」
「いーよいーよ!ここ数日タッセちゃんとこのお菓子が美味しいって評判だしな!!」

壮年の店主は明後日には本島からの連絡船が来るのでなんとかなると笑う。それにタッセはもう一度謝罪をして店を出た。

「お持ちさせてしまってすみません」
「全くだ。おれが荷物持ちなど…」
「台車を借りてきます!やっぱり私が、」
「帰り道は上り坂だろう?お前の棒のような腕で押してもおやつの時間に間に合わん」

クラッカーの両脇には砂糖と小麦粉の大袋が抱えられている。本人の不満は自分で運ぶ事自体にあるようで、重量的には何の問題も無さそうだ。次はもう帰るだけ、タッセも買い出しの荷物が入った袋を抱え直して歩みだそうとすると、最後に店主からもう一声かけられた。

「あ、タッセちゃーん!!」
「はい?」
「なんか余所者が流れ着いてきたらしい!注意しな!」
「分かりました!ありがとうございます!!」

「…漂流者はよく流れ着くのか?」
「いいえ、かなり珍しいですよ。流れ着いても既に亡くなってしまっている方が殆どで…」
「……それに殺されるなよ」

クラッカーは顰め面で自分の少し下にある顔を見る。そこには理解の追いついていないきょとんとした顔があった。逆説的に言えばこの島に生きてこられるのは、

丁度その時正面から1人の女性が必死の形相で走ってきてタッセにぶつかってきた。正面からぶつかった2人はそのまま尻餅をつき、タッセはすぐに立ち上がり、ぶつかった来た女性も立たせた。どうかしましたか、そう言おうとしたその時、代わりに目の前の女性から絞り出されるように出た言葉。

「海賊が…暴れて…」

流れ着いた海賊が暴れているらしい。この島に生きてこられるのは極端に運が良いか、相応に生命力がある者という事だ。



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