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▼ 休日の朝

朝日に照らされた剣が煌めく。腰を落とし右腕を胴の後ろにまで引き一気に突き出すと、突風が起こり眼前の海は波の向きを変えた。クラッカーはフゥ、と一息ついて愛剣を下ろす。島の地形を変えるわけにもいかない為面白みのない鍛錬しか出来ないがまぁこんなものだろう。

昨日一昨日ならそろそろ切り上げて朝食にするのだが、タッセ曰く本日は定休日だと言うし朝食の時間も繰り下がるかもしれない。クラッカーは少し考え、プレッツェルを腰に収め家へと戻った。まだ寝ていたなら叩き起せば良いのだ。休日と言えどいつまでも寝ている方が悪いのだから。


クラッカーの予想に反してタッセは昨日までと変わらぬ時間にキッチンに立っていた。クラッカーがリビングに入ると特に驚いた様子もなく挨拶をしてきた。

「おはようございます」
「早いな、おれが遅く起きてきたら食事が冷めるとは思わなかったのか」
「…?クラッカーさんは休日だからといって生活リズムを崩さないと思ったので」

軽くからかってやれば、きょとんとした顔で当然のように返されてしまい閉口してしまった。目の前の彼女も一応見聞色の覇気を操る事を忘れていた。

丁度よくシューシューとやかんが鳴る。朝食の準備ができた為、不自然な沈黙は流れずに2人は食卓についた。

「今日のおやつ2回とお昼は外で食べたいんですけど大丈夫ですか?」
「ん?それほど農園が広いのか?」

昨日一昨日とクラッカーは軽く島を歩いたが、この島の規模で、しかも個人の持ち物の農園なら半日もかかるとは思えず疑問に思う。

「広くはないんですけど、島の各所に木や畑を持ってるのとできるだけ細かく様子を見たいんです」

あ、勿論手伝わせようだなんて思ってませんし、クラッカーさんはのんびり見ていただければ、と思い出したように付け加えるタッセ。

それにクラッカーは当然だと頷いた。今日もこいつのいれる茶は美味い。



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