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異次元の狙撃手11

「全く…」

日も暮れてあたりが暗くなった頃、蘭ちゃんから連絡があった。新一が帰ってこないという。
博士に連絡すれば一足先にスマホを取りに交番へ向かったらしい。新一と一緒にいる可能性のある人物…連絡が取れないならまだ受け取っていないか、わざと出ないかだろう。

「世良ちゃん…かしら…」

一人口にして電話をかける。

「…」

プッと電話が取られると『美織さん!』と世良ちゃんの焦ったような、高揚したような声が聞こえた。

「世良ちゃん、そこにコナンくんいないかしら?」

『一緒にいるよ…ただ、新たなハンターの犯行が…』

詳しく聞けば世良ちゃんは今日一日森山仁に関して調べていたらしい。そして居場所を突き止め、新一に連絡を取った。合流して森山仁の元へ向かった時だった。
彼が狙撃されたらしい。遺体を確認し、狙撃ポイントへ向かえば薬莢とサイコロ、3が上に向けられた物が置かれていた。とのこと。
子供だけでなんて言うことを…と小言を飲み込み世良ちゃんから送られた現場へ急ぐ。

緊急なんだから許してよ、と車に急いで飛び込みアクセルを踏みしめた。
指されたビルは会社の屋上であり、本来アポがなければダメなのだが、まぁそれは仕方がない。
恐らく新一も世良ちゃんも突っ切ったろうから、私も突っ切れば「お客様!記帳を!」と聞こえた。

ごめんね。受付のお姉さん。

エレベーターで屋上に上がれば二人が待っていた。
話に聞いた薬莢とサイコロは静かに鎮座していた。

「まぁ、触ってないわよね」

「素人じゃあるまいし、してないよ」

と世良ちゃんが苦笑した。
第2の殺人、か…とりあえず、目暮警部に連絡をして新一を蘭ちゃんの所へ送ってから警視庁へ向かう。

会議室へ通され、ジェイムズさんやジョディ先生、キャメルさんを呼び捜査会議が始まる。
結論としては森山仁が日本に帰っていたとはまだ掴めてなかった警察とFBIは迂闊だったと顔を歪めた。

しかし、これでハンターが犯人であるという説は濃厚となった。弾丸も一致している。
それに、と続けて話すのはあまり見ない捜査官。

ハンターは藤波に騙され資産を購入、藤波は以前から顧客を高いところに呼び出し、そこから物件を売り込んでいた。今は裏ルートでベルツリータワーの特別招待券を手に入れ、毎日のように顧客と登っていた。つまり、彼はわざと売り込んでいた所を狙撃した。

森山仁についても同じだ。
彼はハンターの妹との婚約を破棄し、別の女と結婚。わざわざ愛の巣である自宅にて狙撃。これに関しても料理教室を終えた奥さんを毎日同じ時間に迎えに行っていたらしいので、狙撃するにはもってこいだった。狙撃当日、監視カメラと扉が銃で壊され侵入を許した。

「何度も下見を繰り返し、綿密に計画の練られた狙撃。如何にもSEALsのスナイパーですね」

同意したジョディ先生は何かを思い出したかのように、空薬莢とサイコロの存在を問えば千葉刑事が、あったことを答えた。

「サイコロは3。前は4。で、ひとつ減っているわけだけど…さて、なんでだと思う?」

「これってまさか…カウントダウン…?」

佐藤刑事が神妙な顔つきで言えば、室内に衝撃が走る。このままいけばジャック・ウォルツとビル・マーフィーも狙撃されるだろう。
しかし、彼らはこの狙撃を聞き、日本での観光スケジュールを大幅に変更したらしい。事件が解決するまで宿泊先から一歩も出ないらしい。

「閉じこもったところで、狙撃から逃げられるかな…?」

口をついて出た言葉に苦い顔をする面々。
むしろ、動かない方が狙撃しやすいかと思う。
まぁ、警護があれば平気か…
ウォルツの方は一刻も早く帰国する気であったが、計画的なハンターの先読みされる可能性を考慮し、逆に身動きが取れなくなったらしい。

と、いうか。

「…私、今いる?
もうコナンと世良ちゃんから聞いた狙撃については言ったんですが…」

「まぁ、そこは念のため、ということでな」

苦笑した目暮警部に小さくため息を漏らす。

「報告会なら私今日はもう戻んないといけないんですみませんが帰っていいですか?」

「用があるのなら…すまんなわざわざ来てもらって」

「いいえ、まぁ、何かあればご連絡を。
一応ここまで関わっちゃったなら放置できませんし…」

とだけ残し、部屋を出た。

*


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