《狂い愛》


















「ねぇ。ここから出してよ」






今日も君は、手を伸ばす。
「ギル」
オレの名を紡ぎながら。




ここは、ナイトレイ家の地下の一室。窓はなく、オレのもつ、ただ1つの鍵でないと、ドアは開かず、外には出られない。
生活に必要最低限のものしかないその部屋に、オレと、オズはいた。
何日も、何週間も部屋から出させてもらえなかったからだろう。若干痩せてはいるが、そのエメラルドの瞳から、輝きはいっさい消えない。
自由を奪われ、閉じ込められ、それでもなお、君をお前は美しく、清らかで。
 
それと比べ、オレは何なんだ。
他人に振りまくお前の笑顔、温かい視線。全てに耐えられなくて、君を閉じ込め、オレのものにした。
笑ってくれ。ただの嫉妬だ。
笑ってくれ。お前が、男同士であり、主と従者という関係にも関わらず、好きなんだ。オズのことが。








「オズ・・お前を外に出すことはできない」
「どうして?」
「お前が、オレから離れていってしまうからだ」








きっと戸惑いもなく。
オレの元から去ってしまうんだ。
お前は強く、オレは弱く。お前は前へと進むけれど。オレはここから動けない。




そんなのイヤだ。





お前は、オレのものだ。










「・・・オレは、お前のものだよ」
「違う。離したら・・どこかへ行ってしまうんだ」

だから、閉じ込めてしまうんだ。



オレは、オズを強く抱きしめる。
オズは、目を細め、ゆっくりと目をつぶると、



「ギル・・・・・オレはお前にとって・・なに・・・?」


そう、震える声で、聞いてきた。



「・・・大切な、主だ」







そして、とても愛しているひと。





 

でも、それは言わない。
そこまで言ったら、きっと、お前はそれを受け入れて、なんでもなかったようにしてしまうから。




この想いだけは、なんでもなかったようにはしたくない。


大切な、想いだから。










「そう」
オズは、傷ついたように瞳を開ける。
その目が潤んでいたように見えたのは、気のせいだろうか。


「ねぇ、ギル」
「なんだ?」
「オレの本当の気持ちは、オレがこのまま隠しておくよ」


ずきっ。
心が痛む。

 
「それでもいい」



お前が、そばに、いてくれるのならば。








「オレは、狂ってるな」








そう呟いて、自嘲した笑みを浮かべる。




そして、ただただ、オズを強く抱きしめた。
















「憎め、オズ。オレを」













おれは、狂っている。



 








それでも、お前がオレのそばにいてくれて、オレの姿をその瞳に映してくれるなら。
























 ぎゃあ!記念すべき(?)第1作目のギルオズはこれとは・・!!
 超絶シリアスですね(笑
 なんか、ギルオズは切ない愛というイメージがあります

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