※学パロ

 









《それが僕らの恋愛戦争 3》
















家に帰って、オレは自室に駆け込むと、ベッドに飛び込んだ。

『お前なんか、大嫌いだ!!』

エリオットの言葉が、頭の中を何度も何度もリピート再生される。分かっていたはずなのに。直接あの強い声で言われると、胸がきりりと痛んだ。

しばらくそうしていると、部屋に音楽が鳴り響いた。出所はオレの鞄。のろのろと近づき、鞄から携帯を取り出す。リーオからだった。

「リーオ・・?」
『オズくん?大丈夫?』

オレの声の調子に気づいたのか、リーオは優しく事情を聞いてくれた。リーオは、なにやら胸騒ぎがしたらしく、オレに電話をしてきてくれたらしい。相変わらずリーオってすごいなと感心しつつ、リーオに全てを話した。5年前のこと。さっきのこと。リーオはうまく相槌を打ってくれて。ようやく話し終えると、リーオはうーんとうなり、

『ごめんね、ちょっと彼を刺激させすぎちゃったのかも』
「え?」
『気にしないで。それよりも・・オズくんは、どうしてこの5年間、試合に出ないようになったの?』
「・・・・・怖かったから・・・・」




オレは確かに『天才』と呼ばれていて、それなりに剣の扱いはできると思う。でも、それが原因で周りの人たちの態度が変わっていっちゃって。


「オレは、エリオットに変わってほしくなかった。ずっと・・・せめて、‘仲良し‘でありたかったんだ」
『オズくん・・・』
「だけど。バカみたいだよね。それで結局嫌われちゃって。大嫌いって・・・」

あははと笑う。声が震えちゃったのはしょうがないよね、うん。

リーオはしばらく電話越しでうーんと考え込んで、

『オズくんは、どうしたい?』
「へ?」
『彼に嫌われたままでいいの?好きになってほしくはないの?』
「そ・・それは・・・で・・でも、エリオットはきっと迷惑してるし・・」
『オズくんの問題だよ』


オレはそっと瞳を閉じて。


「オレは、エリオットが、好きだよ」

大好き。

「好きで・・好きで・・たまらないの・・・」
『そう』
「で・・でも・・どうしたらいいか・・分かんな・・」
『簡単だよ』
「え?」


リーオはくすくすと笑って。
言葉を続けた。








 *     *     *  



リーオに言われたように、オレは長い間触れてさえもいなかった、愛剣を取り出す。べザリウス家に伝わる、全てが純白な剣。ナイトレイ家に伝わる黒剣とは相反するもの。

「うん、久々だね」

それを携えて、ナイトレイ家とべザリウス家を分ける壁をひょいっと乗り越えた。小さい頃はよく遊びに来ていたから、構造はよく分かる。そして、生真面目なエリオットのことだから、ナイトレイの稽古場にいるはず・・・。憶測だったけど、案の定、エリオットが稽古場にいた。1人で、剣を一心不乱に振っている。
しばしその光景に見惚れて、意を決して扉を開く。エリオットはこちらを見て・・・・ぽかんとしていた。
そんなエリオットを見つめ、オレは口を開く。


「私は、オズ=べザリウスと申します。エリオット・・・・エリオット=ナイトレイに決闘を申し込みに来ました」
「は?」
「えっ・・エリオットはオレと戦いたいんだろっ?!」
「あ・・はい・・」

展開についていけないようで、エリオットはなぜか敬語。いまだに目をぱちぱちさせてるし。

「ただしっ!条件がある!」
「条件?」
「オレが勝ったら・・・・オレと、付き合ってくださいっ!」


エリオットは一瞬言葉を失って・・・・すぐさま、「なっ・・なに言ってやがんだてめぇ!」と真っ赤にして声を張り上げた。


「言ってる通りだよっ」
「意味わかんねぇよ!」
「オレはお前が好きなの!!だから・・・オレが勝ったら。付き合うまで・・はやっぱダメかな・・そうだ!友達からお願いします!」


リーオの考えはこうだった。
『彼の望むように、勝負を申し込んだら?条件つきで。恋人になれ!とか。君たちは、そういう風に、お互い真剣に向き合うべきなんだよ』
「え・・でも・・エリオット・・そんな条件じゃ・・・嫌がりそうじゃない・・?オレのこと嫌いだろうし・・」
『大丈夫。彼なら受けるよ、絶対』






半信半疑だったんだけど、目の前のエリオットは何も言わなくて。この沈黙が辛い・・辛すぎるよ・・!
どれくらいの時間が経ったか。エリオットは、「いいぜ」と口を開いた。


「え・・・ほんと・・?」
「ただし、オレからも条件がある」
「?」
「オレが勝ったら、お前を・・オズ=べザリウスをオレにくれ」
「なっ・・」

何言ってるのこの人っ・・!みるみる自分の顔が赤くなっているのを感じた。それって・・・

「どういう・・?」
「そのままだっ!オレは、お前が好きなんだよっ!」
「えっ・・?えええぇ!!」
「だーっ!早く剣を抜けっ!試合開始だっ!」
「え・・ちょっ・・」


慌てて鞘から剣を引き抜く。
エリオットはそうこうしているうちに、目前に迫ってきていて。振りかざしてきた剣を受け止め、お互いに距離をとる。

いったい何なのか、自分でもよく分からない。オレもエリオットが好きで・・エリオットもオレのことを好きでいてくれてて。
両想いなのに、なんでオレは戦おうとしているのか、とかお前はオレのことが嫌いじゃなかったの?とか、聞きたいことは山ほどあるけれど。



「絶対に負けないから!」
「はっ、ちびに負けるか」
「ちび言うなーっ!」



なんていうか、こういうのが。




「オズ=べザリウス参る!」
「エリオット=ナイトレイ参る」




















オレたちらしいよね、なんて。











ようやく完結しました・・!!
リーオのポジションがうらやましいです。切実に
お題は『kara no kiss』さまより



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