《ブタに真珠ならぬ?》












朝目が覚めて、洋服に着替えて。オレは、ふと机の上にあるものに目をやった。
それは、真ん中に緑の宝石がきらめく、綺麗なネックレス。つい昨日、従者であり恋人のギルが買ってきてくれたもの。

『オズに似合うと思って』

顔を真っ赤にして渡されたそれは、今まで見たどのネックレスよりも素敵に見えた。・・・これって愛の力ってやつかな?
オレは、それを手にとり・・・にやけが止まらない。
そうだ、今日はこれをつけてみよう。ギル、気づいてくれるかな?












結果。ギルは会って数秒で気づきました。

「おはよう、オズ・・・・・あ!それ!」

ギルは、あわあわとオレの胸元を指差す。
ってか、気づくの早くない?まだ10メートルくらい距離があるよ。どんだけだ。
でも、気づいてくれたのは、オレにとってはすごい嬉しいことだから、

「えへへ?どう?」

そう言って、ネックレスを軽く持ち上げてみた。
するとギルは、1歩後ずさり、

「お前・・・!ただネックレスをかざしてるだけなのに、何だそのクオリティ!」
「は?」
「ふつうに雑誌とかに載りそうだ・・!いや、でもオレ以外にオズのファンが増えたら困るぞおれは・・!」
「えっと・・・ギル?」

ギルは何事かをぶつぶつと不気味に唱えている。
きょとんと顔をかたむけ、もう1度「ギル?」と問いかけてみる。
それでようやく我に返ったらしく、

「あ、悪い。つけてくれたんだな、オズ」

目を細め、ギルは頬を緩める。
たったそれだけの行動に、心臓がどくんと波打つ。あーもう!格好良すぎるんだよ、ギルは!

「ど・・どう?似合う?」

ギルにずいっと顔を近づけ、返事を待つ。
ギルは、せわしなく顔を動かし、視線をあたりにさまよわせる。

「あーえっと・・・」

もごもごと口を動かしては、悩み、それを繰り返してるギル。
もしかして・・困ってる・・・?

「ごめん・・」

オレ馬鹿だなぁ。ギルにプレゼントもらって、勝手にはしゃいじゃって。

「やっぱ・・似合わないよね」
「いや・・そんな・・」
「なんていうんだっけ。『ブタに真珠』?オレにはこんな綺麗で大人っぽいの・・だめだよね・・」

 
オレはまだ15歳で(本当は25歳だけど)。ギルは24歳。ギルから見たら、まだまだガキだし、こんな大人っぽいの似合うはずがない。
やばい。なんか泣きそう・・・


顔をふせかけようとした時、肩にものすごい力がかかった。そして、ぶんぶんと揺さぶられる。


「オズはブタなんかじゃないぞ!」

そっち?当たり前じゃん。というか例えだからね。

「ものすごい似合ってた!なんていうか・・気の利いた言葉が見つからなくて困ったんだが!すごく可愛い!本当に!」
「そ・・そう?」
「やっぱり、オズにはエメラルドグリーンが合うな!白い肌に映えるし、オズのその瞳ともお揃いだし」
「あ・・ありがと」
「言っとくけど、オズはそのままでも可愛いからな?!正直、オズには必要ないと思ってたから、付けてくれないかと・・・」
「そんなことないよ!オレには勿体無いかな?って思ったから!」
「そんなわけないだろう!」

必死になって言い返すから。オレは思わずくすりとしてしまって。つられてギルも笑い出す。


「本当によく似合ってる」

抱きしめられて、額に軽くキスされる。
本当?とギルの胸に手を添えたら、

「ああ」
「えへへ・・」
「まぁ、オレはオズ本体にしか興味はないけどな」
「ばっ・・ばか!」


 











ふと思いついた話。
まだ初々しい感じで。







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