※野球パロ?かな?
 







 《終わらない夏》










眩しくで、目が開けられないほどの太陽。さらに、今は夏だから、暑くてたまらない。
汗がぽたりと、下に落ち、蒸発して消え去る。
オズ=べザリウスは、額に浮かぶ汗をタオルで拭う。


「暑いなぁ」


そうして、オズは一緒に来た親友を見やる。
親友であるリーオは、この暑さにも関わらず涼しげで、「そう?」とオズに微笑みかけた。


「暑いよ!リーオはすごいなぁ」
「そんなことないよ。ほら、もうすぐ試合始まるから」



眼下に広がる、茶色の地面。白いベースが4つ、四角形になるように置かれている。
ここは、野球のスタジアムで、今から行われる決勝戦をオズとリーオは見に来たのだった。
2人がいるのは観客席なので、選手たちはとても小さく見える。その中でもひときわ目立つ存在を見つけて・・オズは頬を緩めた。


「あ、エリオットだ」



色素の薄い髪に、まっすぐな碧い瞳。オズやリーオの通う高校の野球部のキャプテンである、エリオット=ナイトレイだ。そして同時に、オズの恋人でもある。
エリオットは、チームメイトと言葉を交わし、それぞれと力強く握手している。

その様子に、む、としたオズを横目で見て、リーオは楽しそうに、


「嫉妬?」
「ちっ・・違うから!」
「図星だね」


顔を赤らめるオズ。まぁ、確かにここんとこ一緒に遊んでないし・・などぶつぶつ呟く。さらにリーオが目を細める。

「やっと決勝まで来たね」
「そうだね。エリオットも・・みんなも・・・がんばったもん」

ずっと見ていたから。オズは心の中でそう呟く。片思いの間も、両想いになって付き合い始めてからも。ずっと、見ていたんだから。

優勝校のみが、全国大会に進める。ここで勝てば。
オズは、手に力をこめる。


「そういえば、オズくんってさ」
「ん?」
「野球とか、あんまり好きじゃないんでしょ」
「そうだったよ。うーん、今もかな?」
「どうして?」
「なんかさ、あんな小さいボールのために、一生懸命にできるのかな?って感じ。ただ、ボールが飛ぶだけじゃない?まぁ、野球に限らず、他のスポーツもあんまり好きじゃないけど」




何で、あんなに頑張れるんだろう。
オズは、最初、そんな気持ちでグラウンドにいる野球部を見ていた。そんな時に、オズはエリオットに出会ったのだった。


『お前、ずっと見てるけど、野球好きなのか?』
『へ?あ・・違うよ。というか、むしろ嫌い・・かも』
『なんだと?!貴様、そこになおれ!』
『なっ・・なんだよ!ただ、ボールが飛ぶだけじゃんか!』
『違ぇよ!しょうがねぇ!オレが、お前に、野球のすごさを教えてやる!』
『はぁ?!』





初めてエリオットと出会ったときが、その時で。
オズは目を閉じる。
そして、心の中でそっと問い掛ける。 


ねぇ?見せてくれるんでしょ?エリオット














「あーっ!惜しい!」


オズとリーオが同時に声を張り上げる。
試合が経過してから3時間。両チーム譲らずに5回まで来たが、6回で相手チームに3点を入れられ、一気に引き離されたのだった。
それからも、エリオットたちはチャンスをつくるが・・どうにもうまくいかない。

「どどどど・・どうしよう!リーオ!」
「焦らないで。まだ、あと1回あるでしょ」
「うん・・」


オズは祈るような気持ちで、ベンチにいるエリオットを見つめる。

9回の表が終了し、最後のエリオットたちの攻撃に移る。
粘りを見せ、3人が塁に出て、満塁となる。
しかし、もうすでに2アウト。
そんな時に、バットを持って現れたのはエリオットだった。


「エリオット!頑張れ!」
「頼むぞっ!」


チームメイトの声援が響く。
エリオットはゆっくりとバットをかまえる。
1球目。ストライク。
2球目。ストライク。



オズは、手すりから身を乗り出して、己の恋人に向かって声を張り上げる。




「エリオット!」




周りの声援で聞こえていないかもしれない。だけど、オズは叫ぶ。


「見せてみてよ!」




3球目が投げられる。
いやに、スローモーションに見えたのは、気のせいか。オズとリーオ、他の観客たちも、固唾を呑んで見守っている。
オズは、両手を合わせ、ぎゅっと目をつぶる。







カキン







その渇いた音に、オズは顔を上げる。
ボールは、ゆっくりと進んでいく。

無音。誰も声を発さない。ただ、ボールを目で追いかけていて。

オズも、思わず口を半開きにして、そのボールを見つめる。たかがボールなのに。そう思っていても、目が離せない。


そして、綺麗な曲線を描いたボールは、ちょうど向こうのスタンドにがつんと当たる。

その瞬間。わあっと歓声が静寂を包んだ。



「やった」



普段おとなしくて冷静なリーオが、小さくガッツポーズをする。

「やったね、オズくん。逆転だよ」

横に座っているオズを振り返って、そこでリーオはオズが泣いていることに気づいた。
オズの瞳からは、次々と涙が零れている。


「りっ・・リーオ!ボールが・・・!あんなに遠くに・・・!!」
「そうだね」


リーオは、ぽんぽんとオズの頭を撫でる。
今になって分かった、とオズは思った。この、よく分からない気持ち。嬉しさ?悲しさ?辛さ?何だかよく分からないこの気持ちを味わうために、エリオットは今まで頑張ってきたんだ。
『感動』
そんな安っぽい言葉でしか表せないけれど。エリオットは、これをオレに教えてくれようとしてたんだね。







「ほら、オズくん。エリオットがこっち見てるよ」



リーオに小突かれてオズが顔をあげると、エリオットとちょうど目が合った。 


エリオットは、何も言わず微笑み、オズに向かって手を空に向かって上げて。親指を立てた。

そんなエリオットの周りを、チームメイトが囲む。



「ばーか。何カッコつけてんだよ」



オズは口角を上げながら、涙を袖で拭う。




「悔しいけど、すごくカッコ良いじゃんか」






からりと晴れた青い空。
光を浴びてきらきら輝く海。

こんな夏はきっと、








すごい書きたかった野球の話。
実は、管理人の学校の野球部もけっこう強くて、県大会で上の方まで進出して全校応援に行ったんですけど、惜しくも負けちゃって。
管理人も、「野球?何それ」という感じだったんですけど、終わった後、ものすごいじーんとしちゃいました(>_<)。すごいキラキラしてるんですよね、野球部。
また、来年頑張って甲子園に行ってほしいです!

感想とかありましたら気軽にお願いします(○´ω`○)




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -