《甘やかせてあげてください》













ばたばたばた

オレは、勢いよくギルの部屋のドアを開け放った。
中で新聞を読んでいたギルが、目を丸くしている。


「ギル!」
「どうした?そんなに慌てて。こけて怪我でもしたらどうするんだ」
「オレ、そんなにやわじゃないから。ね、ギル」
「ん?」
「今日だけ、オレに甘えていいよ?」


ギルは、開いた口がふさがらない様子。うん、マヌケで可愛い。これぞギル。


「ど・・どうした?」
「それ2回目だよ」
「ま・・まさか・・・オレのお前へのつくしっぷりが気に食わないのか・・・っ?!」
「つくしっぷりって何それ」

根っからの家政婦さん気質だなぁ。
オレは、くすくす笑いながら、椅子に座っているギルの膝の上に、のっかる。


「別にギルのオレへのつくしっぷりが気に食わないわけじゃないよ?」
「な・・なら・・・」
「ギルにはさ、オレの幼馴染の他に、もう1つステータスがあるでしょ?言ってごらん」


指を、ギルの唇に添える。
ギルは真っ赤になって。


「こ・・・恋人・・・・」
「そ、正解」


1週間前。ギルとオレはめでたく結ばれ、恋人同士になったのでした!
ギルとオレは家が隣同士で、いわゆる幼馴染。
でも年が離れていて、オレは現在中学3年生、ギルはもう成人して高校の先生をしている。そんなんだから、オレは好きって言えなかったんだけど・・ギルから「ずっと好きだった」って告白されて、ものすごい嬉しくて。


「だからさ、恋人らしく、ギルに甘えてほしいなぁって思って」

そう言って、ギルにぎゅっと抱きつく。
ギルは、親のいないオレの代わりに、ずっと家事をしてくれてる。
そのおかげか、ギルの手際の良さは、家政婦以上。料理の腕はコックさん以上。
本当にギルには助かってて。だから、オレは恩返ししたいんだ。





「ね?今日はオレに甘えて」
「あ・・あぁ。分かった」
「それで、ギルは何したい?」


そう聞くと、ギルは頭を抱え始めた。
うーんうーんとうなること10分。


「・・・何をしたらいいんだろう」
「はぁ?」
「オズ、何か希望はあるか?」


どうやらギルは甘えることを知らないみたい。
オレがずっと甘えすぎたのかな・・・


「んー何でもいいよ?オレにやらしいことしたいとかでも」
「つっ!大人をからかうな!」
「ギルはしたくないのかなー?」


ギルを下から覗き込む。
ギルはこの上目遣いに弱いらしくて。顔を真っ赤にしちゃった。


「しっしたいが!他のは?」
「んーそうだ!今日1日、ギル専属のメイドさんになったげる!」
「・・はぁ?」
「ちょっと待って!着替えてくるから!」


そうと決めたらいそがなきゃ!
ギルは「何でメイド服を持ってるんだ・・」と頭を悩ませていた。













数分後。
オレは見事なメイドさんに扮し、ギルの部屋に戻った。
そのときのギルの顔ったら。写真に撮って後世に残しときたかったくらい。
 
オレの服装は、白と黒を基調とした、シンプルなメイド服。
裾にはふんだんにレースが使われていて、ふんわりとした形。
ついでにニーハイを履いて、頭にふりふりのカチューシャをつければ、完全にメイドさん!のつもり。



「どう?」



くるりと回って見せた。後ろにも、大きなリボンがついていて、リボンと、裾がふわっと舞い上がる。
ギルが、あわてて鼻を押さえていた。


「どう?ギル・・ご主人様」
「くっ・・・」
「萌える?可愛い?」
「つっ・・」
「正直に言わなきゃ、ここで服全部脱ぐよ」
「も・・萌える!し、可愛い!から・・脱ぐのはやめろ!」


ギルったら顔真っ赤だ。からかいがいがあるなぁ。
 
さて。何をしよう。


「メイドっていったら、お料理だよね!ちょっと行って来る!」
「まてまてまて。料理ならオレがやるからっ!」
「じゃあ、お買い物にいってくる!」
「まてまてまてまて。そんな格好で出歩くな!変な奴に襲われるぞ!」
「じゃあ、何をしたらいいんですか、ご主人様」


再び、ギル悩み中。
そして、ようやく思いついたのか、そろそろと顔を上げる。
 

「・・・・・くれ・・」
「え?何?」
「膝枕!してくれ!」

まさか、そんなことだと思わなくて、オレは思わず聞き返してしまった。


「膝枕?」
「あ・・ああ」
「してほしいの?」
「ああ」


そう言われたらしょうがない。
オレは、ソファーに腰を下ろし、ギルを導いた。
ギルは若干とまどいながらも、オレの太ももの上に頭を置いた。
メイド服はかなりのミニスカだから、ちょうど生身の足の上にギルがいて。なんというか・・・



「は・・恥ずかしい・・かも」
「オズが言ったんだろっ」
「そ・・そうだけど・・っ・・」


ギルの体温が直に伝わってくるし、ギルとの顔が近いし。
やばい。オレまで顔が熱くなってきた。
悟られないよう、こっそりと顔を扇ぐ。


ギルは、恥ずかしさからか、目をぎゅっとつぶっていて。
それを見ると、やっぱり、格好いい。男から見てもかっこいいんだから、女の子とかすごいだろうなぁ。ファンクラブとか出来てそう。む。なんか悔しい。

でも。

オレはギルの髪を優しく撫でた。

こんなことできるのって、恋人のオレだけだよね。

そう考えると嬉しくて、にやけが止まらない。




「ねぇ?ギル」
「ん?」
「たまには、こういうのもいいよねぇ」
「そう・・・だな」


















 

メイド服がいかせてないwwwww
付き合いたてのギルオズです






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